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しんざん
生ぜしかば主税之助は
新參の
用役安間平左衞門
立花左仲其外氣に
適たる
佞臣どもを集め雪の寒を凌がんと晝より
酒宴を
如何も申されねどお
前さまのお
優さしさは
身にしみて
忘れませぬ
勿躰なけれどお
主樣といふ
遠慮もなく
新參の
身のほども
忘れて
云ひたいまゝの
我儘ばかり
兩親の
傍なればとて
此上は
御座いませぬ
左りながら
悔しきは
生來の
鈍きゆゑ
到底も
御相談の
相手には
聞て主税之助は
漸々打合點然らば
切首の多兵衞其外
新參の者共に此事内分で頼み置んと金銀を遣し郷右衞門
佐十郎を
彼のやうに
思しめして
御苦勞なき
身の
御苦勞やら
我身新參の
勝手も
知らずお
手もと
用のみ
勤めれば
出入のお
人多くも
見知らず
想像には
此人かと
見ゆるも
無けれど
好みは
人の
心々何がお
氣に
染しやら
云はで
思ふは
山吹の
下ゆく
水のわき
返りて
胸ぐるしさも
嘸なるべしお
愼み
深さは
嫡子に
相立其上二男の藤三郎まで
亡者にせんと
種々難題を申ては
毎日打擲致し
若是を
意見立致し候者是あれば
早速暇を出さるゝゆゑ其後は誰一人諫め申者御座なく
剩さへ
新參の家來を