しい)” の例文
左様さうですツてネ——其事は私も新聞で見ましたの、——むつしい文句ばかり書いてあるので、くは解りませぬでしたが、何でも兼さんに
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
世間馴れぬお梅はこんなむつしい事件の後仕末について、祖母から相談を掛けられるのを恐れてゐた。
孫だち (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
おつぎもみなみ女房にようばうゑてだまつていてた。勘次かんじむづしいかほをしてながらも熱心ねつしんいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
くわえてフークでサラサラとまぜてフライ鍋へバターをしいてその品物をなよくいためるのです。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
空気洋燈らんぷ煌々くわう/\かゞやいて書棚の角々かど/\や、金文字入りのほんや、置時計や、水彩画の金縁きんぶちや、とうのソハにしいてある白狐びやくこ銀毛ぎんまうなどに反射して部屋は綺麗きれいで陽気である、銀之助はこれがすきである。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
おまへは決心をしてそれを為遂しとげることの六ヶしいほうには違ひありません。それがためにおまへもいかい苦労をおしだ、わたしもなか/\はたで気がめ升。しかしまたちひさいにしては感心なところ有升あります
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
そして又御本宅の御取込とは御噂の有た奧樣の御妹子が御方附になるの、彼宅あちらは御目出度事さぞ此宅の旦那樣もどんなにか御うらやましいだろふねとの同情、ほむに御隱居樣も御出掛遊ばすのであつた
うづみ火 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
井上の奥様がサウぢやない、是れ/\の話でツて、私なぞには解からぬ何かむづしいことつしやいましてネ、其れでモウ内相談がまつて、来月三日の教会の廿五年の御祝が済むと
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
どうだ、貴様はお袋の様な音なしくつてかしこい女になれるか、チツトむづしいやうだな、今のみゝずの話しも十一のにしちやア余り馬鹿ばかげたやうだな、どうだ、アハヽヽ、そんな真面目まじめな顔をせずともだ。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
しいて今の原料を
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
余り情ないと思ひますよ——私見たいな無学文盲にはむづしい事は少しも解りませぬけれど、あの山木さんなど、何年にも教会へ御出席おいでなされたことのあるぢや無し、それに貴郎、酒はめしあがる
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)