トップ
>
掩護
>
えんご
ふりがな文庫
“
掩護
(
えんご
)” の例文
そして、土居先生の巧妙な監視に
掩護
(
えんご
)
されつつ、あやか夫人は居室を忍びでて階下へ降り、内海さんをメッタ刺しに刺し殺して帰られた。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
むしろ、
匿
(
かく
)
まう者にも、潜伏する者にも、気づよい
掩護
(
えんご
)
を思わせているかも知れないのだ。清盛は、次第に、足が弾んでいた。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しばらくすると、急いで操縦された二個の砲は、
角面堡
(
かくめんほう
)
に向かって正面から
火蓋
(
ひぶた
)
を切った。戦列歩兵や郊外国民兵らの銃火も、砲兵を
掩護
(
えんご
)
した。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
その時刻までに、わが青軍の主力は、
前夜
(
ぜんや
)
魚雷
(
ぎょらい
)
に見舞われて速力が半分に
墜
(
お
)
ちた元の
旗艦
(
きかん
)
『
釧路
(
くしろ
)
』を
掩護
(
えんご
)
して、うまく逃げ落ちねばならなかった。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その際
初鹿野
(
はじかの
)
源五郎忠次は主君義信を
掩護
(
えんご
)
して馬前に討死した。越軍の竜字の旗は、いよいよ朝風の中に進出して来る。
川中島合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
酔
(
よい
)
と云う
牆壁
(
しょうへき
)
を築いて、その
掩護
(
えんご
)
に乗じて、自己を大胆にするのは、
卑怯
(
ひきょう
)
で、残酷で、相手に汚辱を与える様な気がしてならなかったからである。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
のみならずペリイは測量艇隊を放って浦賀付近の港内を測量し、さらに内海に向かわしめ、軍艦がそれを
掩護
(
えんご
)
して
観音崎
(
かんのんざき
)
から
走水
(
はしりみず
)
の付近にまで達した。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
土地のこの豊度、家屋のこの
掩護
(
えんご
)
は、これら土地及び家屋の年々の収入を形成する。労働者は日々工場に労働し、弁護士・医師は日々その診療に従事する。
純粋経済学要論:01 上巻
(新字新仮名)
/
マリー・エスプリ・レオン・ワルラス
(著)
ザール鉱工業地帯の
掩護
(
えんご
)
、特にオランダの中立尊重は、戦争持久のための経済的考慮によったのであります。
最終戦争論
(新字新仮名)
/
石原莞爾
(著)
事の次第では、
威嚇
(
いかく
)
の爆弾投下を「実施」(当時の軍隊用語)して、地上部隊を
掩護
(
えんご
)
しようというのである。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
附添の若い男が、お角を
掩護
(
えんご
)
するつもりで、船頭に武者ぶりついたけれど、腰が定まらないのに船頭の一突きで、無残に突き飛ばされて起き上ることができません。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
掩護
(
えんご
)
物のかげからかげに腰をかがめていく動作、トーチカを占領して万歳を絶叫する途端に腹をうたれて、ころころと土堤からころがりおちるところ——それらはみんな真にせまつてゐた。
耳
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
女子はビヨルンソンの云つた様に『次第に人生に入込み来つた』暖かき感情のよりよき
掩護
(
えんご
)
者である。かくの如き議論はかの甲乙の差別によつて天秤の価値を上下するが如きものではない。
恋愛と道徳
(新字旧仮名)
/
エレン・ケイ
(著)
そして何物が
掩護
(
えんご
)
せられてあるのか。その神聖なる場所は、岡村という男との差向いの場所ではないか。根岸で嬉しく思ったことを、ここでは直ぐに厭に思う。地を
易
(
か
)
うれば皆
然
(
しか
)
りである。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
狭い谷の重要な通路を
掩護
(
えんご
)
しています。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
夜な夜な河中の逆茂木を伐りのぞき、やがて味方の
掩護
(
えんご
)
射撃のもとに敵前上陸へかかろうものと機をうかがっていた。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
掩護
(
えんご
)
のために味方の打ち出した大砲が敵塁の
左突角
(
ひだりとっかく
)
に
中
(
あた
)
って五丈ほどの
砂煙
(
すなけむ
)
りを
捲
(
ま
)
き上げたのを相図に、
散兵壕
(
さんぺいごう
)
から飛び出した兵士の数は幾百か知らぬ。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
佐々砲弾の「
空の虱
(
プー
)
」の
掩護
(
えんご
)
によって彼自身が風呂敷包の中からとりだした
擬装爆弾
(
ぎそうばくだん
)
実はマグネシウム花火などを博士の門前に投げつけ岩蔵を巧みに門外におびき出し、その隙に乗じ
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私は帝銀事件の犯人などにも、同様な家族的
掩護
(
えんご
)
があるのじゃないかと考える。
ヤミ論語
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
なにしろ武力の権を一手に握り、家康が選定した江戸の城に根を構え、
譜代
(
ふだい
)
外様
(
とざま
)
の
掩護
(
えんご
)
のほかに、八万騎の直参を持っているのですから、そう一朝一夕に倒れるというわけにはいきますまいから
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
敵の奇襲に対し倉庫の
掩護
(
えんご
)
は容易ならぬ大問題であった。
戦争史大観
(新字新仮名)
/
石原莞爾
(著)
敵の
掩護
(
えんご
)
か、味方の銃隊か。いや両岸から同時に撃ち出したといっていい。水に
谺
(
こだま
)
して、耳も
聾
(
ろう
)
するばかりだった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また当夜、諸所方々の夜空が、ぼうっと、妙に赤く見られたなども、それの巧妙な
掩護
(
えんご
)
であったかもわからない。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それゆえ、
掩護
(
えんご
)
の船列も
布
(
し
)
いたろうが、とうてい、秩序のある船出などではない。さきへ行く尊氏の船を目あてに、あとあとから、帆に帆を慕ッて行ったことだった。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
上野介のすがたを探し求めて行く組の屋内戦と、それを
掩護
(
えんご
)
しつつ目的の徹底を期してゆく組の屋外戦と——その時、もう吉良邸は、まったく
坩堝
(
るつぼ
)
の底と化していた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これは蜀全軍に対して後の
掩護
(
えんご
)
となっておる。——それにひきかえ汝は備えの初めに、王平の諫めも用いず、我意を張って、山上に拠るの愚を敢えてしているではないか
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
凌振
(
りょうしん
)
は思った。砲手の働きは、味方の
掩護
(
えんご
)
でしかない。自分にしろ
梁山泊
(
りょうざんぱく
)
を実地に踏んで賊首の二ツ三ツは都の
土産
(
みやげ
)
にしなければ軍功になるまいと
逸
(
はや
)
ッたのである。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
畠山重忠は、そう云われて、初めて味方の
掩護
(
えんご
)
が、まだ手ぬるいものであった事に気がついた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
必死の
掩護
(
えんご
)
射撃を
酬
(
むく
)
いながら、
尺歩丈進
(
せきほじょうしん
)
、押し詰め押し詰め、味方の
屍
(
かばね
)
を塁として、徐々に大橋の半ば以上を踏み取り、やがて左馬介の号令一呼の下から、千余騎いちどに
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうして頭上を通ッてゆく味方からの
掩護
(
えんご
)
の
火箭
(
ひや
)
や矢叫びも、もう聞えず、あらゆる音震にも皮膚が無知覚になったとき、一つ一つの兵の顔は人間を脱して、眼と爪だけのものに変っていた。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここは国境第一の
嶮路
(
けんろ
)
である。加うるに友軍はみな漢中へ退いて、いわば
掩護
(
えんご
)
のために、山中の孤軍となった二将であったが、趙雲子龍はさすがに千軍万馬の老将、おもむろに退却の準備にかかった。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“掩護”の意味
《名詞》
掩 護(えんご 「援護」に「同音の漢字による書きかえ」がなされる)
敵の攻撃から味方を守ること。
(出典:Wiktionary)
掩
漢検準1級
部首:⼿
11画
護
常用漢字
小5
部首:⾔
20画
“掩護”で始まる語句
掩護物
掩護戦