さし)” の例文
旧字:
少し俯向うつむいて、ええ、やっぱり、顔へは団扇を当てたまんまで、おぐしの黒い、前の方へ、軽くかんざしをおさしなされて、お草履か、雪駄せったかの、それなりに、はい、すらすらと
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
猟師れふしこれを見れば雪を掘て穴をあらはし、木のえだしばのるゐを穴にさし入れば熊これをかきとりて穴に入るゝ、かくする事しば/\なれば穴つまりて熊穴の口にいづる時槍にかくる。
強い、しどい、刺戟しげきのある臭気を、香をき、鼻の穴へ香水をつけた綿をさして私が世話をすると、その時だけ意識が分明はっきりして、他の者には近よらせなかった。そしてお世辞がよかった。
出迎えようと思って、次のへ飛び出した。そこは真っ暗である。どこに戸のつまみがあるか見えない。まごまごしている内に、外からかぎさしじょうを開けた。戸がいた。マリイが這入はいって来た。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
「然うね、何かさし花でも少しお取りな。」
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
へい青し白玉椿さしはさむ
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
みねくもきざみ、みづたにつきつた、大彫刻だいてうこくながめても、をんなさしかんざしほどもかないで、温泉宿をんせんやどとまつた翌日よくじつ以前もとならばなによりもさきに、しか/″\のだうはないか、それらしい堂守だうもりまいか
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)