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ばんか
ふりがな文庫
“
挽歌
(
ばんか
)” の例文
大陸の暗い炭坑のなかで
犇
(
ひし
)
めいている人の顔や、熱帯の
眩
(
まぶ
)
しい白い雲が、騒然と音響をともないながら
挽歌
(
ばんか
)
のように流れて行った。
死のなかの風景
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
呂昇は巧みにそれらの弱点を突いて、情緒をさわがせ、酔わし、彼らの胸の
埋火
(
うずみび
)
を
掻起
(
かきおこ
)
させ、そこへぴたりと融合する、情熱の
挽歌
(
ばんか
)
を伴奏したのである。
豊竹呂昇
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
興奮した非常に病的な想像力が、すべてのものの上に硫黄のような光を投げていた。彼の即興の長い
挽歌
(
ばんか
)
は、永久に私の耳のなかに鳴りひびくであろう。
アッシャー家の崩壊
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
そこにいくつとなく見出される
挽歌
(
ばんか
)
の云うに云われない美しさに胸をしめつけられることの多いがためでした。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「生まるる時の早かりしか、或は又遅かりしか」は南蛮の詩人の
歎
(
なげき
)
ばかりではない。僕は福永
挽歌
(
ばんか
)
、青木健作、
江南文三
(
えなみぶんざ
)
等の諸氏にもかう云ふ歎を感じてゐる。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
時々ベシーは仕事に氣をとられて繰返しを非常に長く
緩
(
ゆつく
)
り引張つた。「むかし、むかし」の一節が
挽歌
(
ばんか
)
の悲痛極まる
抑揚
(
よくやう
)
のやうに響いた。彼女は、
他
(
ほか
)
の小唄を唄ひ出した。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
あとで聞いたら、その独唱者は音楽学校の教師のP夫人で、故人と同じスカンジナビアの人だという縁故から特にこの日の
挽歌
(
ばんか
)
を歌うために列席したのであったそうである。
B教授の死
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
なお太子薨去のとき
巨勢三杖大夫
(
こせのみつえのまちぎみ
)
の奉ったという
挽歌
(
ばんか
)
三首が「法王帝説」に載っている。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
カピ長
婚儀
(
こんぎ
)
の
爲
(
ため
)
にと
準備
(
ようい
)
した一
切
(
さい
)
が
役目
(
やくめ
)
を
變
(
か
)
へて
葬儀
(
さうぎ
)
の
用
(
よう
)
。
祝
(
いは
)
ひの
樂
(
がく
)
は
哀
(
かな
)
しい
鐘
(
かね
)
の
音
(
ね
)
、めでたい
盛宴
(
ちさう
)
が
法事
(
ほふじ
)
の
饗應
(
もてなし
)
、
樂
(
たの
)
しい
頌歌
(
しょうか
)
は
哀
(
あは
)
れな
挽歌
(
ばんか
)
、
新床
(
にひどこ
)
に
撒
(
ま
)
く
花
(
はな
)
は
葬
(
はふむ
)
る
死骸
(
なきがら
)
の
用
(
よう
)
に
立
(
た
)
つ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
式も
亦
(
ま
)
た簡短であつた。単調子な
鉦
(
かね
)
、太鼓、
鐃鈸
(
ねうはち
)
の音、
回想
(
おもひで
)
の多い耳には其も悲哀な音楽と聞え、器械的な回向と読経との声、
悲嘆
(
なげき
)
のある胸には其もあはれの深い
挽歌
(
ばんか
)
のやうに響いた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
わらべ達の声 (遠き
挽歌
(
ばんか
)
のごとく)……さようなら! 文麻呂!……
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
私は自己の階級に対してみずから
挽歌
(
ばんか
)
を歌うものでしかありえない。
想片
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
これは
挽歌
(
ばんか
)
として、死霊を
和
(
なご
)
める為の誇張した愛情である。
歌の円寂する時
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
上宮太子の御歌は今日あまり知られていないようであるが、万葉集巻三
挽歌
(
ばんか
)
のはじめに、上宮聖徳皇子出
二
遊竹原之井
一
之時見
二
竜田山死人
一
悲傷御作として、次の一首が記載されている。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
万葉集のなかのすべての
挽歌
(
ばんか
)
のいい味わいがあるのだろうと思われます。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
詩人の群はいみじき
挽歌
(
ばんか
)
を
唄
(
うた
)
って
柩
(
ひつぎ
)
の前を練りあるくであろう。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
大来皇女
(
おおくのひめみこ
)
の
挽歌
(
ばんか
)
にある「
石
(
いそ
)
のうへに
生
(
お
)
ふる
馬酔木
(
あしび
)
を手折らめど……」
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
“挽歌”の意味
《名詞》
挽歌(ばんか)
中国で野辺送りの際、柩を引く者が歌った歌。
人の死を哀悼する歌。
(出典:Wiktionary)
挽
漢検準1級
部首:⼿
10画
歌
常用漢字
小2
部首:⽋
14画
“挽”で始まる語句
挽
挽回
挽臼
挽割
挽物
挽子
挽割麦
挽茶
挽割麥
挽肉