持出もちいだ)” の例文
爲し樣子を承まはり候へば云々しか/″\なりと申に付千太郎の一時みせより持出もちいだせし五十兩を私し引負金ひきおひきんなして永のいとまになりし節千太郎へ呉々くれ/″\異見を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いつもごとく台処から炭を持出もちいだして、お前は喰ひなさらないかと聞けば、いいゑ、とお京のつむりをふるに、では己ればかり御馳走ごちそうさまに成らうかな
わかれ道 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
とかくのうち晩餐ばんさんの時刻となりて中川家独得の長食卓ながてーぶるは客の前に持出もちいだされぬ。ナイフもフークもスプーンも例の杉箸すぎばしも法の如く並べられたり。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
火元と認定せらるる鰐淵方わにぶちかた塵一筋ちりひとすぢだに持出もちいださずして、あはれむべき一片の焦土をのこしたるのみ。家族の消息はただちに警察の訊問じんもんするところとなりぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
蚊いぶし火鉢に火を取分けて三尺の椽に持出もちいだし、拾ひ集めの杉の葉をかぶせてふうふうと吹立ふきたつれば、ふすふすとけぶりたちのぼりて軒場のきばにのがれる蚊の声すさまじし
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ここにおいてお登和嬢が心をめたる御馳走は早速人々の前に持出もちいだされたり。客も主人もな食卓を囲みぬ。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
持出もちいだせば雲助どもは是は有難う御座りますと手ん/″\に五六ぱいヅツひつかける所へ藤八ソレさかな銘々めい/\に金二分づつやるに雲助はイエ親方是は入やせんと辭退じたいなすを馬鹿を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いぶし火鉢ひばち取分とりわけて三じやくゑん持出もちいだし、ひろあつめのすぎかぶせてふう/\と吹立ふきたつれば、ふす/\とけふりたちのぼりて軒塲のきばにのがれるこゑすさまじゝ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
殺害仕つり金子三百五十兩をぬすとりなほまた奧藏おくぐらへ忍び入り質物品々並びに脇差わきざしこし持出もちいだし候やに存じられ候へどもいましかと取調べ行屆き申さず候と云ひければ其段久兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)