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払底
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ふってい
ふりがな文庫
“
払底
(
ふってい
)” の例文
旧字:
拂底
第一内地のように石を敷かない計画らしい。
御影石
(
みかげいし
)
が
払底
(
ふってい
)
なのかいと質問して見たら、すぐ、冗談云っちゃいけないとやられてしまった。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
たしかその頃は借家が
払底
(
ふってい
)
な時でしたから、手頃な家がなかなかオイソレと見つからないで、私たちは半月あまりこうして暮らしたものでした。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
仰有
(
おっしゃ
)
るとおりです。借間の
払底
(
ふってい
)
をはじめ、そのほかわれわれイギリス国民を困らせることが実に
夥
(
おびただ
)
しいのです。
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
近頃家庭料理が急に
盛
(
さかん
)
になったため西洋鍋や西洋道具が
払底
(
ふってい
)
となって随分悪い品を高く売付けるそうです。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
少し落付いた為め、今まで
払底
(
ふってい
)
していた身体の気力が、いびつに補われ始めたからでしょうか。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
荷船の
払底
(
ふってい
)
しているところ故、船問屋にかけ合って、やっと今、半分ほど積みましたが、後は
明日
(
あす
)
になるらしいので、そうと云ったら又あの御老体が、
権柄
(
けんぺい
)
な肩を怒らして
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
上海は家が
払底
(
ふってい
)
していて、どんな小さな家でも部屋でも金になる。戦火で家を焼かれて田舎から逃げてきた難民は、この寒空に道ばたで寝ている始末だ。いかに家がないか……
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
むかしは矢羽根に
雉
(
きじ
)
または山鳥の
羽
(
はね
)
を用いたが、それらは多く得られないので、下等の矢には鳶の羽を用いた。その鳶の羽すらも
払底
(
ふってい
)
になった頃には、矢はすたれて鉄砲となった。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この下宿人
払底
(
ふってい
)
の世の中に日本人だろうが何だろうがそんなことを言ってはいられないし、それに事実、日本人は文句はいわず——じつは言いたくても、一つはその引っこみ思案と
踊る地平線:03 黄と白の群像
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「はあ、いかにも、思い出しましてござりまする——江戸表、
米穀
(
べいこく
)
払底
(
ふってい
)
の折柄、上方のお持米をおまわしになりましたら、さぞ世間がよろこぶであろうという——あの、お噂ばなし——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
兎に角、こんな具合に入学志望者が
払底
(
ふってい
)
だったから、高等卒業のものは直ぐに二年級へ編入された。私と助役の息子の
安井君
(
やすいくん
)
がこの特典を利用した。他に地主の権藤の長男が一年級へ入った。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
日本には原書が
払底
(
ふってい
)
であるから一冊でも余計に輸入したいと思う所に、
幸
(
さいわい
)
なる
哉
(
かな
)
、今度米国に来て官金を
以
(
もっ
)
て
沢山
(
たくさん
)
に買入れ、日本に
持
(
もっ
)
て
帰
(
かえっ
)
て原価でドシ/\
売
(
うっ
)
て
遣
(
や
)
ろう、
左様
(
そう
)
なれば誠に
難有
(
ありがた
)
い。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
半蔵は国から持って来た
金子
(
きんす
)
も
払底
(
ふってい
)
になった。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
つまりは人が
払底
(
ふってい
)
なためだったのでしょう。私のようなものでも高等学校と、高等
師範
(
しはん
)
からほとんど同時に口がかかりました。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
艀
(
はしけ
)
や
伝馬船
(
てんません
)
が
払底
(
ふってい
)
を告げて、廻船問屋は
血眼
(
ちまなこ
)
で船頭をひっぱり合っているし、人夫や
軽子
(
かるこ
)
の労銀は三割方も
暴騰
(
あが
)
ったというが、それでも手をあけている労働者は見あたらなかった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
より多く市に人手
払底
(
ふってい
)
のためでしょう。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「それを考えると、子供の時なんか、訳もわからずに悪い事をしたもんだね。もっとも今とその頃とは時勢が違うから、教師の口も今ほど
払底
(
ふってい
)
でなかったかも知れないが」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その時分は今に比べると、
存外
(
ぞんがい
)
世の中が
寛
(
くつ
)
ろいでいましたから、内職の口はあなたが考えるほど
払底
(
ふってい
)
でもなかったのです。私はKがそれで充分やって行けるだろうと考えました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
正直ですら
払底
(
ふってい
)
な世にそれ以上を予期するのは、
馬琴
(
ばきん
)
の小説から
志乃
(
しの
)
や
小文吾
(
こぶんご
)
が抜けだして、向う三軒両隣へ
八犬伝
(
はっけんでん
)
が引き越した時でなくては、あてにならない無理な注文である。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それも句作に熱心で
壁柱
(
かべはしら
)
へでも書き散らしかねぬ時代ならとにかく、書く材料の
払底
(
ふってい
)
になった今頃、何か記念のためにと、
短冊
(
たんじゃく
)
でも出された日には、
節季
(
せっき
)
に無心を申し込まれるよりも
苛
(
つら
)
い。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「思い出す事など」は平凡で低調な個人の病中における
述懐
(
じゅっかい
)
と叙事に過ぎないが、その
中
(
うち
)
にはこの
陳腐
(
ちんぷ
)
ながら
払底
(
ふってい
)
な
趣
(
おもむき
)
が、珍らしくだいぶ
這入
(
はい
)
って来るつもりであるから、余は早く思い出して
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“払底”の意味
《名詞》
物質が欠乏すること。
(出典:Wiktionary)
払
常用漢字
中学
部首:⼿
5画
底
常用漢字
小4
部首:⼴
8画
“払”で始まる語句
払
払暁
払子
払拭
払下
払塵
払退
払物
払方
払階