手前てめへ)” の例文
馬鹿! 手前てめへまでがそんな腐つた了簡で、歿くなられた浄雪師匠に済まぬとは思はぬか。
名工出世譚 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
伯母さん止めずに下されと身もだへしてののしれば、何を女郎め頬桁ほうげたたたく、姉の跡つぎの乞食め、手前てめへの相手にはこれが相応だと多人数おほくのうしろより長吉、泥草履つかんで投つければ
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「俺の事だ⁈ お静……手前てめへはそんな事を言つて、それで済むと思ふのか」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
おほ愉快の最中もなかへ正太の飛込み来しなるに、やあ正さん今お前をば探してゐたのだ、己れは今日は大分のもうけがある、何かおごつて上やうかと言へば、馬鹿をいへ手前てめへに奢つて貰ふ己れでは無いわ
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
大愉快おほゆくわい最中もなか正太しようた飛込とびこしなるに、やあしようさんいままへをばさがしてたのだ、れは今日けふ大分だいぶもうけがある、なにおごつてあげやうかとへば、馬鹿ばかをいへ手前てめへおごつてもられではいわ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
身は疳癪かんしやくに筋骨つまつてか人よりは一寸法師ぼし一寸法師とそしらるるも口惜くちをしきに、吉や手前てめへは親の日になまぐさをやつたであらう、ざまを見ろ廻りの廻りの小仏と朋輩の鼻垂れに仕事の上のあだを返されて
わかれ道 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
疳癪かんしやく筋骨すぢぼねつまつてかひとよりは一寸法師いつすんぼし一寸法師いつすんぼしそしらるゝも口惜くちをしきに、きち手前てめへおやなまぐさをやつたであらう、ざまをまはりのまはりの小佛こぼとけ朋輩ほうばい鼻垂はなたれに仕事しごとうへあだかへされて
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
意趣いしゆがあらばわたしをおち、相手あいてにはわたしがなる、伯母おばさんめずにくだされともだへしてのゝしれば、なに女郎じよらう頬桁ほうげたたゝく、あねあとつぎの乞食こじきめ、手前てめへ相手あいてにはこれが相應さうおうだと多人數おほくのうしろより長吉ちようきち
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)