いそぎ)” の例文
どん尻の炭車トロに飛び乗って、竪坑口へいそぎながらも、しかし係長は捨て兼ねたような口調で、技師へ訊ねるのであった。
坑鬼 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
なやまされ、かつはいそぎむちうたれつゝ、我わが導者に從ひてさゝはり多き道を歩み、正しき刑罰を憐みゐたるに 四—六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
文墨ぶんぼく雅人がじんも多しときゝしが、旅中りよちゆうとしきやうするにあひ皈家きかいそぎしゆゑ剌を入れざりしは今に遺憾ゐかんとす。
何かいそぎの用でもできたのかと聞くと、いや何というばかりで、不得要領ふとくようりょうにまた箸を取ったが、どことなくそわそわした様子で、まだ段落のつかない用談をそのままに
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大切に待遇もてなしけり夫より又半年程經過たち主用にて又々大坂へのぼり尼ヶ崎へも立寄たちよるべき事有りて金四百五十兩をあづかいそぎの旅なれば駕籠かごより乘掛のりかけが宜しと供人もわづか引連ひきつれてぞ登りける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今宵の祭にいそぎの使になって来るのは
○さて此娘、 尊用なりとていそぎのちゞみをおりかけしに、をりふし月水ぐわつすゐになりて 御機屋はたやに入る事ならず。
さればもし處のさがの火を射るなくば我はいそぎは彼等よりもかへつて汝にふさはしといふべし 一六—一八
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
調しらべなされずは相分あひわかり申まじと云に越前守委しく承まはり左樣さやうならば紀州表へ參らずば相分り申まじ然らば御暇申べしと一れいのべいそぎ御役宅へ立歸り公用人こうようにん平石次右衞門吉田三五郎を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
文墨ぶんぼく雅人がじんも多しときゝしが、旅中りよちゆうとしきやうするにあひ皈家きかいそぎしゆゑ剌を入れざりしは今に遺憾ゐかんとす。
彼の足すべての動作ふるまひの美をこぼついそぎを棄つれば、さきにせばまれるわが心 一〇—一二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
枕に付せけるが翌日長庵は早々支度をし麹町を立出吉原さしていそぎけり爰に吉原江戸町二丁目の丁字屋ちやうじや半藏と云る遊女屋いうぢよやは其頃での繁昌はんじやうの家にて貴賤きせん客人まろうどひききらされば此丁字屋方へ賣込うりこまんと傳手つて
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
○さて此娘、 尊用なりとていそぎのちゞみをおりかけしに、をりふし月水ぐわつすゐになりて 御機屋はたやに入る事ならず。