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いか
ふりがな文庫
“
忿
(
いか
)” の例文
かれ阿治志貴高日子根の神は、
忿
(
いか
)
りて飛び去りたまふ時に、その
同母妹
(
いろも
)
高比賣
(
たかひめ
)
の命、その御名を顯さむと思ほして歌ひたまひしく
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
孟は
忿
(
いか
)
りで胸の中が焼けるようになって、何の考えも浮ばなかった。そして間もなく十一娘が自殺して葬式をしたということが聞えて来た。
封三娘
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
御前へ出た八郎兵衛は、宗利の表情がかつて見たことのない、烈しい
忿
(
いか
)
りに
顫
(
ふる
)
えているのを認めた、彼は
悄然
(
しょうぜん
)
と頭を垂れた。
松風の門
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
湯でも水でもぶっかけてざぶ/\流し込むのである。若い者の
楽
(
たのしみ
)
の一は、食う事である。主人は麦を食って、自分に稗を食わした、と
忿
(
いか
)
って飛び出した
作代
(
さくだい
)
もある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
友人は余を信ずるを以て
敢
(
あえ
)
て余の彼が
言
(
ことば
)
に従わざるを
忿
(
いか
)
らずといえども、余を愛せざる兄弟姉妹(?)の眼よりは余は聖典の教訓に
逆
(
さか
)
らいしもの、基督より
後戻
(
あともど
)
りせしもの
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
▼ もっと見る
そういえば、「良識の方が大切である」ことを、口を酸っぱくしていっているのに、「良識がいらないというのはけしからん」と
忿
(
いか
)
るのは、やはりそそっかしさからきているのであろう。
身辺雑記:――『日本のこころ』を囲って――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
明くれば夜のさまをかたり、暮るれば明くるを慕ひて、
一七一
此の月日頃
千歳
(
ちとせ
)
を過ぐるよりも久し。かの鬼も夜ごとに家を
繞
(
めぐ
)
り、或は屋の
棟
(
むね
)
に叫びて、
忿
(
いか
)
れる声
一七二
夜ましにすざまし。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
その国俗として
麦藁
(
むぎわら
)
を積んだ処を右に
遶
(
めぐ
)
れば飲食をくれる、来年の豊作を祈るためだ。左に遶れば凶作を招くとて不吉とする。摩訶羅不注意にも左へ遶ったので麦畑の主また
忿
(
いか
)
って打ち懲らす。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
ある日、私は自分の
忿
(
いか
)
りを
制
(
おさ
)
えきれないことがあって、今の
住居
(
すまい
)
の玄関のところで、思わずそこへやって来た三郎を打った。不思議にも、その日からの三郎はかえって私になじむようになって来た。
嵐
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
忿
(
いか
)
りも湧き立たぬほど索漠とした気持を経験した。
鈍・根・録
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
初穂はせきあげてくるものを抑えるように、唇を
噛
(
か
)
んでぐっと
喉
(
のど
)
を詰まらせた。それから再び面をあげ、
忿
(
いか
)
りと訴えとを
籠
(
こ
)
めた口調で続けた。
一人ならじ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
連城は王の家へいったが、
忿
(
いか
)
って飲食をしないで、ただ早く死なしてくれといった。室に人のいないのを見ると
梁
(
はり
)
の上に紐をかけて死のうとした。
連城
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
ここに天皇いたく
忿
(
いか
)
りて、矢刺したまひ、百官の人どもも、悉に矢刺しければ、ここにその人どももみな矢刺せり。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
それらが幹太郎の頭の中で
閃光
(
せんこう
)
のように明滅し、
忿
(
いか
)
りとも絶望とも、悲しみともつかない、激しい感情のために、口をきくことさえできなかった。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
かれここに八十神
忿
(
いか
)
りて、大穴牟遲の神を殺さむとあひ
議
(
はか
)
りて、
伯伎
(
ははき
)
の國の
手間
(
てま
)
の山本
一
に至りて云はく
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
十一娘は
忿
(
いか
)
って食事をしないで、毎日寝ていたが、婿が迎えに来る前晩になって、不意に起きて、鏡を見て化粧をした。夫人はひそかに喜んでいた。侍女がかけて来ていった。
封三娘
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
「おれが改めて、おれの口から、たのむと云っても、だめだろうか」幸太の眼は
忿
(
いか
)
りを帯びたように鋭く光った
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
臧は金を掘りだした時、兄が先ず貢物の金を隠しておいたものだろうと思って、
忿
(
いか
)
って兄の所へいって兄を責め罵った。大成はそこで二成が金を返して来た
故
(
わけ
)
を知ったのであった。
珊瑚
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
それがちょうど十二年まえの正保二年、忠善の
忿
(
いか
)
りにふれて
生涯蟄居
(
しょうがいちっきょ
)
という例の少ない
咎
(
とが
)
めをうけたが、彼はその命のあった日に切腹をして死んだのである。
日本婦道記:墨丸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「あらぬ事を訴訟する不届きなしれ者」という判定を怒れる眼と
忿
(
いか
)
れる大喝に託して宣告されたのである。
艶妖記:忍術千一夜 第一話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その叫びは口から口へ伝わりあらゆる人々を絶望に叩きこんだ、沸き立つような
喧騒
(
けんそう
)
がいっときしんと鎮まり、次いでひじょうな
忿
(
いか
)
りの
呶号
(
どごう
)
となって爆発した。
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
心の
忿
(
いか
)
りをあらわすかのように、うす暗い
燈火
(
ともしび
)
のなかできらきらと震えた、「……おまえが討死でもしたとわかっていたら、私はとうに生きてはいられなかったよ」
蜆谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
主人杉浦氏の
小鬢
(
こびん
)
のあたりが
蒼
(
あお
)
くなり、右の頬がぴくっと
痙攣
(
ひきつ
)
った。癇が強そうだと思ったとおり、氏はその年齢と格式をもって抑えきれないほどの
忿
(
いか
)
りを発した。
花咲かぬリラ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
香苗はそれを
判
(
はっ
)
きりと聞いた、言葉の意味は本当には分らなかったが、なにかしらん罪深い、禁断の
帷
(
とばり
)
の奥をいきなりあけて見せられたような、胸苦しい
羞恥
(
しゅうち
)
と
忿
(
いか
)
りに身の震えるのを覚えた。
城中の霜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
なんとも説明しようのない、そして自分でも理由のわからぬ烈しい
忿
(
いか
)
りが、むらむらと肚の底からつきあげてきたのだ、それはかれの血の叫びであった、かれの全身にながれている郷士の血が
荒法師
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“忿”の解説
忿(ふん)(sa: krodha、クローダ)は、仏教が教える煩悩のひとつ。
瞋に付随して起こる。
怒り。いきどおり。自分の気に入らぬことに激怒して、杖で人を打とうとするぐらい激しい感情になる心をさす。
この心は粗暴な言動を生み出す。
説一切有部の五位七十五法のうち、小煩悩地法の一つ。唯識派の『大乗百法明門論』によれば、随煩悩位に分類され、そのうち小随煩悩である。
(出典:Wikipedia)
忿
漢検1級
部首:⼼
8画
“忿”を含む語句
忿怒
忿々
忿懣
忿然
忿恨
欝忿
忿念
忿激
鬱忿
餘忿
痛忿
水牛面忿怒妙王
死忿
恚忿
怒気忿々
御忿恚
忿憤
忿恚
忿怨神
忿怒瞋恚
...