御尤ごもつと)” の例文
きびすかへしてツト馳出はせいづればおたかはしつて無言むごん引止ひきとむるおびはし振拂ふりはらへばとりすがりはなせばまとひつきよしさまおはらだちは御尤ごもつともなれども暫時しばし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
逆に云へばかう云ふ風に自然が見えればこそ、かう云ふ画が此処ここに出来上つたのだから、一応いちおう至極しごく御尤ごもつともである。
西洋画のやうな日本画 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
なが沈默ちんもくぐにわづかこれだけの言葉ことばでした、それも時々とき/″\グリフォンの『御尤ごもつとも!』と間投詞かんとうしや、えず海龜うみがめくるしさうな歔欷すゝりなきとにさまたげられてえ/″\に。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
御尤ごもつともなことですが、——若しそれが世上に知れ渡つたとしたら、御公儀の方は何うなりませう」
御尤ごもつともと思ひます。
仮名遣意見 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
御不審は御尤ごもつともですが、先達樣——東海坊樣は、そんな氣の小さい方ぢや御座いませんでした。
先生はにやにや笑ひながら「それものちに考へて見ると、子規はあの通り寝てゐたですから、坐つた人間ばかり見てゐたのでせうし、わたしは又外国にゐたのですから、坐らない人間ばかり見てゐましたし」と御尤ごもつともな註釈を
正岡子規 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しかりつけられて我知われしらずあとじさりする意氣地いくぢなさまだしもこほる夜嵐よあらし辻待つじまち提燈ちやうちんえかへるまであんじらるゝは二親ふたおやのことなりれぬ貧苦ひんくめらるゝと懷舊くわいきうじやうのやるかたなさとが老體らうたいどくになりてやなみだがちにおなじやうなわづらかたそれも御尤ごもつともなりわれさへ無念むねんはらわたをさまらぬものを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「いかにも、御尤ごもつとも、——では讀み下します、御覽下さい」
仰せ千万せんばん御尤ごもつともに候。
尾形了斎覚え書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
御尤ごもつともで」