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御出世
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ごしゆつせ
嬉しさ
胸の
中におさへがたく、
蔭ながら
拜んで
居ても
宜いほどの
辱さなれど、つく/″\
我が
身の
上を
思ひまするに、
貴郎はこれより
彌ます/\の
御出世を
遊して
其昔し
大部屋あるきのお
人成しを一
念ばかりにて
彼の
御出世、
馬車に
乘つてのお
姿は
何のやうの
髭武者だとて
立派らしう
見えるでは
御座んせぬか、お
前樣も
男なりや
今つから
伸びる
事が
出來なくては
仕方が
無い、
其樣な
事を
他處の
家でもしては
不可よと
氣を
附けるに、
己れなんぞ
御出世は
願はないのだから
他人の
物だらうが
何だらうが
着かぶつて
遣るだけが
徳さ
名物一つかげを
消して二
度目の
花は
紺屋の
乙娘、
今千束町に
新つた
屋の
御神燈ほのめかして、
小吉と
呼ばるゝ
公園の
尤物も
根生ひは
同じ
此處の
土成し、あけくれの
噂にも
御出世といふは
女に
限りて