待人まちびと)” の例文
ここに梓が待人まちびと辻占つじうら、畳算、夢のうらないなどいう迷信のさかんな人の中に生れもし育ちもし、且つ教えられもしたことをあらかじめ断っておかねばならぬ。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この上はその待人まちびと如何いかなる者なるかを見て、疑は決すべしと、やがてその消息をもたらきたるべき彼の帰来かへりの程を、陰ながら最更いとさらに遅しと待てり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
って、明智のアパートに第二の訪問者があった。玉村妙子さんだ。午前、彼女から電話で予告があったので、明智の方でも心待ちにしていたのだ。楽しからぬ待人まちびとではあったが。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
待人まちびといれ小御門こみかどかぎ 来
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
意外なる待人まちびと
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
小机こづくゑに、茫乎ぼんやり頬杖ほゝづゑいて、待人まちびとあてもなし、ことござなく、と煙草たばこをふかりとかすと
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ひさしい以前いぜんだけれど、大塚おほつか火藥庫くわやくこわき、いまの電車でんしや車庫しやこのあたりにんでときあたかはるすゑころ少々せう/\待人まちびとがあつて、とほくからくるまおとを、ひろ植木屋うゑきやにはめんした
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ゆるき扱帶しごきむや、とほやまちかみづ待人まちびときたれ、初雁はつかりわたるなり。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
待人まちびとかぞふるや。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)