いほ)” の例文
みがきてにはかげも心地こゝちよげなるを籠居たれこめてのみ居給ゐたまふは御躰おからだにもどくなるものをとお八重やへさま/″\にいざなひてほとりちかき景色けしき田面たのもいほわびたるもまた
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
紅葉館は我いほうしろにあり。古風の茶亭とは名のみにて、今の世の浮世才子が高く笑ひ、低く語るの塲所なり。三絃の音耳を離れず、蹈舞の響森を穿うがちてきたる。
秋窓雑記 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
寂しさに堪へたる人の又もあれないほをならべむ冬の山里 (西行法師)
『さびし』の伝統 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
さひしさに堪へたる人のまたもあれないほを並へん冬の山里 (西行)
歌よみに与ふる書 (旧字旧仮名) / 正岡子規(著)
法然のいほりし山のこのふところは苔むしてあるか古へゆ今に
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
師の君の目を病みませるいほの庭へうつしまゐらす白菊の花
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
我がいほかはやの裏のなつめの木花のさかりも今は過ぎたり
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
我がいほは三輪の山もと恋しくば
わがいほふみよむ窓につるの来て
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
谷風や青田あをためぐいほきやく
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
わがいほ
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蘆のかれ葉に霜のみ冴ゆる古宅の池も、かけひのおとなひ心細き山したいほも、田のもの案山子かがしも小溝の流れも、須磨も明石も松島も、ひとつ光りのうちに包みて、清きは清きにしたがひ
琴の音 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いほを隔つることもりひとつ、名宗匠其角きかく堂永機住めり、一日人に誘はれて訪ひ行きつ、閑談やゝ久しき後、彼の導くまゝに家のうちあちこちと見物しけるが、華美を尽すといふ程にはあらねど
秋窓雑記 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
このいほにまこと仏のおはすかと思ふけはひに雪ふりいでぬ
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
いほの月あるじを問へば芋掘りに
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
高原のいほに目ざめて
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
このいほ三月みつき五月いつつき棲み馴れていよよ親しむ西日の反射
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)