そこひ)” の例文
さま銀色の帶をべたる如し。この細大二流は、わが立てるいはほの前に至りて合し、幅ひろき急流となり、乳色の渦卷を生じてそこひなき深谷にみなぎり落つ。
暗がりに目がれたのか、空は星の上に星がかさなって、そこひなく晴れている——どこの峰にも銀の覆輪ふくりんはかからぬが、おのずから月の出の光が山のはだとおすかして、いわかけめも、路の石も
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
否、君を思ふ心の深きそこひをば今ぞ知りぬる。君は故里に頼もしきやからなしとのたまへば、此地に善き世渡のたつきあらば、留り玉はぬことやはある。又我愛もて繋ぎ留めでは止まじ。
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
そこひの熱をあたためよ。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
わたつそこひ
佐藤春夫詩集 (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
時に不思議なものを見ました——そこひなき雪の大空の、なおその上を、プスリとのみ穿うがってその穴から落ちこぼれる……大きさはそうです……蝋燭ろうそくの灯の少しおおきいほどな真蒼まっさおな光が
雪霊続記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
否、君を思ふ心の深きそこひをば今ぞ知りぬる。君は故里ふるさとに頼もしきやからなしとのたまへば、此地に善き世渡のたつきあらば、留り玉はぬことやはある。又我愛もて繋ぎ留めではまじ。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
終の圖に筆を染むる時、姫の宣給のたまふやう。かく麓より眺むれば、この落ちたぎつ水の勢は、早晩いつか巖石を穿ち碎き、押し流して、その上なる人家もそこひなき瀧壺に陷らずやと怖しく思はると宣給ふ。われ。
そこひなきそこひより。
佐藤春夫詩集 (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
とき不思議ふしぎなものをました——そこひなきゆき大空おほぞらの、うへを、プスリとのみ穿うがつてあなからちこぼれる……おほきさはうです……蝋燭らふそくすこおほきいほどな眞蒼まつさをひかり
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
海のそこひふかく
佐藤春夫詩集 (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)