すわ)” の例文
冷々ひやひやとした侘住居わびずまいである。木綿縞もめんじま膝掛ひざかけを払って、筒袖のどんつくを着た膝をすわり直って、それから挨拶した。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
取て突退つきのけ名主手代を左右へ押分おしわけ動乎どつかすわりし男を見れば下に結城紬ゆふきつむぎの小袖二ツ上は紺紬こんつむぎに二ツ井桁ゐげた紋所もんどころつきし小袖を着五本手縞の半合羽はんかつぱ羽折はをり鮫鞘さめざやの大脇差を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これは卓子台ちゃぶだいせるとかった。でなくば、もう少しなかいてすわれば仔細しさいなかった。もとから芸妓げいしゃだと離れたろう。さき遊女おいらんは、身を寄せるのにれた。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かぶりて打臥うちふしたり家主は枕元にすわりて長庵殿しばふだの辻の自身番より急の御差紙さしがみを以て村井長庵を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
大鷲は今の一撃にいかりをなしたか、以前のごとく形も見えぬまでは遠く去らず、中空にいかのぼりのごとくすわって、やや動き且つ動くのを、きっにらんでは仰いで見たが、と走っては打仰ぎ、走っては打仰ぎ
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あげをりこそあれ召捕めしとりの役人どや/\と押込おしこみ御用なり尋常じんじやうなはに掛れと勢猛いきまきのゝしるにぞ道十郎は驚きてすわなほし拙者に於ては御召捕に相成べきいはれ無し其は人違ひとちがひにては候はずやといはせも果ず役人共言譯いひわけあら白洲しらすにて申べしと病痿やみほいけたる道十郎を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)