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こづかいせん
ふりがな文庫
“
小遣銭
(
こづかいせん
)” の例文
旧字:
小遣錢
貧乏咄をして
小遣銭
(
こづかいせん
)
にも困るような
泣言
(
なきごと
)
を能くいっていても、いつでもゾロリとした
常綺羅
(
じょうきら
)
で、困ってるような
気振
(
けぶり
)
は少しもなかった。
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
実のところは
俺
(
おい
)
らはモウ
小遣銭
(
こづかいせん
)
もねえのだ、さしあたってなんとか
工面
(
くめん
)
をしなけりゃならねえのだが、兄貴だって同じことだろう。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
市場にやられる日には私は、まず、家の者の気づかない時を
見計
(
みはか
)
らって、そっと押入れの
小遣銭
(
こづかいせん
)
の
函
(
はこ
)
の中から銅貨を七、八ツ盗み出した。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
郷里を立つとき祖母は私に
僅
(
わず
)
かばかりの
小遣銭
(
こづかいせん
)
をくれていうに、東京には
焼芋
(
やきいも
)
というものがある、腹が減ったらそれを食え。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「そんな事はどうでもいい。何分居候の身で出かけたいにも
履
(
は
)
き物がない、笠がない。それに
小遣銭
(
こづかいせん
)
の持ち合わせもない」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
譲吉が金の都合で、
何
(
ど
)
うしても応ぜぬ時などは、自分の
小遣銭
(
こづかいせん
)
で、黙って買って来て、譲吉に内緒で縫って置いた。
大島が出来る話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
寿司談義は
小遣銭
(
こづかいせん
)
が快調にまわるようになり、年も四十の坂を越え、ようやく口が
贅
(
おご
)
って来てからのことになる。
握り寿司の名人
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
私は
小遣銭
(
こづかいせん
)
の許す範囲で、古雑誌を買ったり、貸本を取り寄せたりして、いろんな空想を湧かしつつ読み耽った。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ときには少額だが
小遣銭
(
こづかいせん
)
まで、そのエキストラ氏——本名か芸名かは知らないが、彼は磯島大八郎という名前だった——は、私に用立ててくれていたのである。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
乏しい
小遣銭
(
こづかいせん
)
をはたいて、医者にもみて貰った。色々の医学の書物を買込んで、自己療法もやって見た。
或
(
あるい
)
は神仏を念じて、大好物の
餅
(
もち
)
を
断
(
た
)
って病気
平癒
(
へいゆ
)
の祈願をさえした。
夢遊病者の死
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
政雄はそうして五六日就職口を探して歩いたが、思わしい口がないうえに
小遣銭
(
こづかいせん
)
もなくなったので、もと
己
(
じぶん
)
の助手に使っていたことのある運転手のことを思いだして往ってみた。
女の怪異
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その節の
土産
(
みやげ
)
として
大枚
(
だいまい
)
金一円
貰
(
もら
)
ったことがある。そのころ僕の
小遣銭
(
こづかいせん
)
は一週間に二十銭と
定
(
き
)
まっていたからして、一円
紙幣
(
しへい
)
を手にしたことはおそらくそのとき初めてであったろう。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
一日の勤めに前後三日、どうかすると四日を費やし、あまつさえ泊まりの食物の入費も多く、折り返し使わるる途中で
小遣銭
(
こづかいせん
)
もかかり、その日に取った人馬賃銭はいくらも残らない。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「ナニサそんな訳じゃアない、あの二人は
叔父
(
おじ
)
甥
(
おい
)
の間柄で、あの
真赤
(
まっか
)
に
酔払
(
よっぱら
)
って居るのは叔父さんで、若い綺麗な人が甥だそうだ、甥が叔父に
小遣銭
(
こづかいせん
)
を呉れないと云う処からの喧嘩だ」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そしてそういう書物を読むばかりでなく、僅かの
小遣銭
(
こづかいせん
)
をつかってそれらの書物に説明してある実験を行い、また電気については簡単な起電機なども自分でつくってみたということです。
マイケル・ファラデイ
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
五人あれば二分二朱にもなるから
小遣銭
(
こづかいせん
)
には
沢山
(
たくさん
)
で、
是
(
こ
)
れが
大抵
(
たいてい
)
酒の代になる。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
途中三鷹の私の家に寄って素早く
鬚
(
ひげ
)
を
剃
(
そ
)
り大いに若がえって、こんどは可成りの額の
小遣銭
(
こづかいせん
)
を懐中して、さて、君の友人はどこにいるか、制服制帽を貸してくれるような親しい友人はいないか
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
で、私もそれを自分の
小遣銭
(
こづかいせん
)
に困っている時などは自分の
財布
(
さいふ
)
の中に
蔵
(
しま
)
い込んだこともあるが、さもない時はそのまま黙って主人の前に出した。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
それに要する金銭の上に道庵は、若干の
小遣銭
(
こづかいせん
)
を米友に与えて、お前も江戸は久しぶりだからその
序
(
ついで
)
に、幾らでも見物をして来るがよいと言いました。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それに、毒を呑ませやがったのも
業腹
(
ごうはら
)
なんで、実は、お恥かしい話ですが、
小遣銭
(
こづかいせん
)
も空ッぽのため、この二日ほどは食わず飲まずで、お米のやつを、探し歩いておりました。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伯母のお滝は例の如く
空
(
から
)
お
世辞
(
せじ
)
を言っては金を借りて行き、その金を亭主の
小遣銭
(
こづかいせん
)
にやったり自分らの口へ
奢
(
おご
)
ったりしてしまったので、お松の病気の
癒
(
なお
)
った時分には
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それに
小遣銭
(
こづかいせん
)
を一ヶ月五円ずつ貰うことにしたから、そのうちで、二円の月謝と二円三十銭の電車賃とを引いて七十銭しか残らなかったけれど、ペンやインキを買うぐらいの余裕はあった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「いやこれは、とんだご
会釈
(
えしゃく
)
です。一同浪々の身なので、どいつもこいつも寒々しくお目に見えたかもしれませんが、じつは
小遣銭
(
こづかいせん
)
ならあり余っているのです。せっかくですが、ご
斟酌
(
しんしゃく
)
なく」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小遣銭
(
こづかいせん
)
をねだりに来られたりするうちはまだいいが、万々が一、その親という奴がたちの良くねえ奴でもあってごろうじろ、それこそ親子の名乗りなんぞしなかった方が
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
けれど老女は来る者を
拒
(
こば
)
むことなく、ことごとく自分の子供であるかの如く、その広い家を開放して彼等の出入りの自由に任せ、その窮した者には
小遣銭
(
こづかいせん
)
までも与えてやっているようです。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
遣
常用漢字
中学
部首:⾡
13画
銭
常用漢字
小6
部首:⾦
14画
“小遣”で始まる語句
小遣
小遣錢
小遣帳
小遣取
小遣稼
小遣金
小遣錢位