)” の例文
旧字:
と見て、妻が更に五六つぶ拾った。「椎がった! 椎が実った!」驩喜かんきの声が家にちた。田舎住居は斯様な事がたいした喜の原になる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「赤いのが未だ大分つてゐるやうでございますね。綺麗でございますこと。——あそこに白い花が沢山咲いて居りますやうでございますね。」
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
「秋茄子がこのように、たくさんにった。またすこしんで、冬の間に喰べられるよう漬けこんで置こう。いつもの籠を持って来てすこしいでたも」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
裏の果樹園へつれ出されて、彼女は初めてほつとした。水蜜桃のるところを、彼女は初めて見た。野菜畑なども町で育つた彼女には不思議なものの一つであつた。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「不断百も持っていない人間だが、この二三日馬鹿に景気がよくて、伊太郎などは近在の賭場とば門並かどなみ荒らして歩いたそうだよ。——なんでも金のる木を植えたとか言って」
はいおらが屋敷内にりました柿で、重くもあるがうかまア渋が抜けたら孫に呉れべえと、孫に食わしてえばっかりで、おめえもいとわず引提ひっさげて来ましたよ……はア最う構わず
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
秋に行った時にはそこのくりの樹に栗が沢山っていたのを、小女こおんなたちが枝に登って落してくれたこと、御馳走ごちそうと云っては手料理の野菜が主であったけれども、それが大変おいしく
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「わたしは、そんな山は、いらないから、お金のる木がただ一本だけ欲しい」
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と主張した八千代さんは米のる木の岡山から来ている。
好人物 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
あんなに女らがつて照るのを待つたものを!
忘春詩集:02 忘春詩集 (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
この枝にも 林檎がるだらう
一枝について (新字旧仮名) / 金鍾漢(著)
「こゝから覗いて御覧なさい。——ね、まだ赤いのがぽつ/\つてるでせう。かういふのはこれかられるんだ。」
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
そのの一つ一つが、妻の栗姫の顔であり、赤穂の城であり、父の義直であり、まだ幼い内蔵助の丸い笑顔であり、故郷の本丸にっている柿の実であり
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「此はお嬢様に」と婦人が取出とりだしたのは、十七八ずつもった丹波酸漿たんばほおずきが二本。いずれもあかいカラのまゝ虫一つ喰って居ない。「まあ見事みごとな」と主婦が歎美の声を放つ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「俺は金のる木があるんだ、当分飲みしろには困らない、と威張っていましたよ」
「米もらなければ、町なかでもない地面を、どうしてここらの衆はあんなに買うのか」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たった一つった果物のような素晴らしい出来栄、歩めば大地の上に、歩一歩花が咲くのではないかと思われる位い、暗闇の中に置くと、かぐや姫のように、輝いたと云われる程の美しさです。
隣のかねさんが苗をくれた南瓜とうなすの成長を見に来たついでに、斯様こんな話をした。金さんの家に、もと非常によく葡萄ぶどうがあった。一年あるとし家の新ちゃんが葡萄をちぎるとたなから落ち、大分の怪我をした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「——実はこの童は、それがしの兄利久としひさの子でおざる。そのうえに、瓜のへちりにひとしい奴で、腕白を通りこした変り者。他家へつかわすなど、とても、親どもが同意いたしませぬ」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「その金のる木というのは何だろう?」
「なるほど。だいぶ赤くっておるな」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『ほ。茄子なすっとるぞ』
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)