-
トップ
>
-
宗匠
>
-
そうしやう
へい……
能う
御存じさまでございます、これは
貴方、
遠州所持でございまして、
其後大した
偉い
宗匠さんが
用ひたといふ
品でございます。主
内には
主人の
宗匠が
万年青の
鉢を
並べた
縁先へ
小机を
据ゑ
頻に
天地人の順序をつける
俳諧の
選に
急がしい
処であつた。
宗匠は
此の
景色を見ると
時候はちがふけれど酒なくて
何の
己れが
桜かなと急に一杯
傾けたくなつたのである。
喟然として
私は
歎じた。
人間は
斯の
徳による。むかし、
路次裏のいかさま
宗匠が、
芭蕉の
奧の
細道の
眞似をして、
南部のおそれ
山で、おほかみにおどされた
話がある。
然しまた
田圃づたひに歩いて
行く
中水田のところ/″\に
蓮の花の見事に咲き乱れたさまを
眺め
青々した
稲の葉に
夕風のそよぐ
響をきけば、さすがは
宗匠だけに