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唐物屋
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とうぶつや
ふりがな文庫
“
唐物屋
(
とうぶつや
)” の例文
相手というのは
羅紗
(
らしゃ
)
の
道行
(
みちゆき
)
を着た
六十恰好
(
ろくじゅうがっこう
)
の
爺
(
じい
)
さんであった。頭には
唐物屋
(
とうぶつや
)
を
探
(
さが
)
しても見当りそうもない変な
鍔
(
つば
)
なしの帽子を
被
(
かぶ
)
っていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
薬種屋
(
やくしゅや
)
か、
唐物屋
(
とうぶつや
)
で訊くのが一番だと思って、沈香か古渡りのギヤマンでも買うような顔をして、日本橋の問屋筋を一軒残らず歩きましたよ」
銭形平次捕物控:043 和蘭カルタ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
かねて所持せし
徳乗
(
とくじよう
)
の
小柄
(
こづか
)
を、坂下の
唐物屋
(
とうぶつや
)
十左衛門
(
じゅうざえもん
)
方へ一両二分にて売って得た金子には相違なけれども、いまさらかかる愚痴めいた申開きも武士の恥辱。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
新式に
硝子
(
がらす
)
戸の店を造った
唐物屋
(
とうぶつや
)
の前には、自転車が一個、なかばは軒の
雨滴
(
あまだ
)
れにぬれながら置かれてある。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
唐物屋
(
とうぶつや
)
だの
呉服店
(
ごふくてん
)
などに、どんなにきれいなものがかざってあっても、今の清造にはなんの
興味
(
きょうみ
)
もありません。
金物屋
(
かなものや
)
や
桶屋
(
おけや
)
はそれ以上に用のないものでした。
清造と沼
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
▼ もっと見る
洋品店を
唐物屋
(
とうぶつや
)
といった時代、ペンキ塗りの看板は十二、三年頃のそれらの店から始まったらしい。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
銀子は
唐物屋
(
とうぶつや
)
や呉服屋、
足袋屋
(
たびや
)
などが目につき、純綿物があるかと
覗
(
のぞ
)
いてみたが、一昨年草津や
熱海
(
あたみ
)
へ団体旅行をした時のようには、品が見つかりそうにもなかった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
慶三は古くから小川町辺に名を知られた
唐物屋
(
とうぶつや
)
の二代目の主人、年はもう四十に近い。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そこの
角
(
かど
)
にある
店蔵
(
みせぐら
)
が、半分は小さな郵便局に、半分は
唐物屋
(
とうぶつや
)
になっている。
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その頃、タシカ、神田のお玉ヶ池の佐羽という
唐物屋
(
とうぶつや
)
がたった一軒硝子戸を
幕末維新懐古談:06 高村東雲の生い立ち
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
田地
(
でんじ
)
も
家
(
いえ
)
も蔵も抵当とやらにして三千円の金を借り、其の金を持って
唐物屋
(
とうぶつや
)
とか
洋物屋
(
ようぶつや
)
とかを始めると云って横浜から東京へ
買
(
け
)
え出しに出たんだよ、ところが他に
馴染
(
なじみ
)
の宿屋がねえと云って
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
人形町の
唐物屋
(
とうぶつや
)
を貧窮組が叩き壊した時は、朝の十時頃から始めて家から土蔵まで粉のように叩き壊してしまいました。いくら多勢の力だからと言って、これは人間業とは思われませんでした。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
京橋八官町の
唐物屋
(
とうぶつや
)
吉田吉兵衛なのである。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
現に
唐物屋
(
とうぶつや
)
というものはこの間まで何でも売っていた。
襟
(
えり
)
とか襟飾りとかあるいはズボン下、
靴足袋
(
くつたび
)
、
傘
(
かさ
)
、靴、たいていなものがありました。
道楽と職業
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
どの店でも
弓張
(
ゆみは
)
り
提灯
(
ちょうちん
)
をつけて、
肴屋
(
さかなや
)
には鮭、ごまめ、数の子、
唐物屋
(
とうぶつや
)
には毛糸、シャツ、ズボン下などが山のように並べられてある。夜は人がぞろぞろと通りをひやかして通った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
越後屋
(
えちごや
)
と対抗した江戸一流の呉服屋で、呉服の外に、
大伝馬町
(
おおでんまちょう
)
、
金吹町
(
かなぶきちょう
)
などに
唐物屋
(
とうぶつや
)
、米屋、金物屋などの店を持ち、今の
百貨店
(
デパート
)
を幾つにも割ったような豪勢な商売をしている店でした。
銭形平次捕物控:029 江戸阿呆宮
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
前には
唐物屋
(
とうぶつや
)
と云ったが今では洋物屋と申しますそうでござりやすが、
屹度
(
きっと
)
当るという人が有りますから、
此処
(
こゝ
)
で
一息
(
ひといき
)
吹返
(
ふきかえ
)
さなければなんねいと思って、
田地
(
でんじ
)
からそれにまア御案内の古くはなったが
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
低い軒がどれもこれもよろけているようである。呉服屋の店には、色の
褪
(
さ
)
めたような
寄片
(
よせぎれ
)
が
看
(
み
)
るから手薄に並べてある。
埃深
(
ほこりぶか
)
い
唐物屋
(
とうぶつや
)
や古着屋の店なども、年々衰えてゆく町の哀れさを思わせている。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
三四郎はその夕方野々宮さんの所へ出かけたが、時間がまだすこし早すぎるので、散歩かたがた四丁目まで来て、シャツを買いに大きな
唐物屋
(
とうぶつや
)
へはいった。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しまいに或
唐物屋
(
とうぶつや
)
の店先に飾ってあるハイカラな
襟飾
(
ネクタイ
)
を見た時に、彼はとうとうその
家
(
うち
)
の中へ入って、自分の欲しいと思うものを手に取って、ひねくり廻したりなどした。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それから足の向を変えてまた三ツ角の交叉点まで出ると、今度は左へ折れて
唐物屋
(
とうぶつや
)
の前でとまった。そこは
敬太郎
(
けいたろう
)
が人に突き当られて、竹の
洋杖
(
ステッキ
)
を取り落した記憶の新らしい停留所であった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その時
後
(
うしろ
)
から来た電車が、突然自分の歩いている往来の向う側でとまったので、もしやという心から、
筋違
(
すじかい
)
に通を横切って細い横町の角にある
唐物屋
(
とうぶつや
)
の
傍
(
そば
)
へ近寄ると、そこにも一本の鉄の柱に
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
代助は二三の
唐物屋
(
とうぶつや
)
を冷かして、
入用
(
いりよう
)
の品を調えた。その中に、比較的高い香水があった。資生堂で
練
(
ねり
)
歯磨を買おうとしたら、若いものが、欲しくないと云うのに自製のものを出して、
頻
(
しきり
)
に勧めた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
唐物屋
(
とうぶつや
)
でも白の気で売り
捌
(
さば
)
いたのみならず
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
唐
常用漢字
中学
部首:⼝
10画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
屋
常用漢字
小3
部首:⼫
9画
“唐物”で始まる語句
唐物
唐物店
唐物商
唐物緞子
唐物類
唐物問屋