品位ひんい)” の例文
こんなあかはげやまは、やまとしてはけつして立派りつぱなものとはいへません。人間にんげんでいへばからだばかりおほきくてとく智慧ちえもないとすれば、ひととしててんで品位ひんいがないのとおなじです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
打見うちみところ年齢とし二十歳余はたちあまり、かお丸顔まるがおほうで、緻致きりょうはさしてよいともわれませぬが、何所どことなく品位ひんいそなわり、ゆきなす富士額ふしびたいにくっきりとまゆずみえがかれてります。
この開展かいてんせる瑩白色花蓋えいはくしょくかがいへんの中央に、鮮黄色せんおうしょくを呈せる皿状花冕さらじょうかべんえ、花より放つ佳香かこうあいまって、その花の品位ひんいきわめて高尚こうしょうであることに、われらは讃辞さんじしまない。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
その言いかたが、またとても品位ひんいがありましたので、ニールスは、すっかりまごついてしまいました。「これはたしかに、ただの鳥じゃないぞ。」と、ニールスは心の中で思いました。
浮かれ遊びに夜をかす者でないこと、また、この女が、さような闇の花でないことは、化粧のさま、髪のかたち、なお、つつまれぬものは人の品位ひんいというもの、それをよくよくごらんあれば
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それからおかおは、どちらかといえばしもぶくれの面長おもなが眼鼻立めはなだちのうち何所どこかがとくてていともうすのではなしに、どこもかしこもよくととのった、まことに品位ひんいそなわった、立派りっぱ御標致ごきりょう
それは、平時に民部みんぶの教えるところであった。民部は伊那丸を勇士ゆうし猛夫もうふ部類ぶるいには育てたくなかった。うつわの大きな、とくのゆたかな、品位ひんい天禀てんぴんのまろく融合ゆうごうした名将めいしょうにみがきあげたいとねんじている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)