)” の例文
第三は、星尾助教授が、大きいがりに躍りあがって喜んだ拍子に、隣りの園部の湯呑茶碗ゆのみぢゃわんをひっくりかえしてしまったことだ。
麻雀殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と自分は答えたが、まだ余っている餌を、いつもなら土にえて投げ込むのだけれど、今日はこの児にのこそうかと思って
蘆声 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あとは髪毛かみのけと血のものみたようになったのが、線路の一側ひとかわを十間ばかりの間に、ダラダラと引き散らされて来ている。
空を飛ぶパラソル (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それからモー一つは今のようにブラウンソースばかりでえた肉へ生玉子を入れて混ぜて塩胡椒で味をつけて長さ二寸親指の太さ位にまるめて中身にします。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
およそえものの和え方は、女の化粧と同じで、できるだけ生地きじの新鮮味をそこなわないようにしなければならぬ。掻き交ぜ過ぎた和えものはお白粉しろいを塗りたくった顔と同じで気韻きいんは生動しない。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そのときだつけか、あとだつたか、春葉しゆんえふあひひとしく、まぐろの中脂ちうあぶらを、おろしでへて、醤油したぢいで、令夫人れいふじんのお給仕きふじつきの御飯ごはんへのつけて、あつちやつかけて、さくさく/\、おかはり
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのほか私の発明でうまいと思ったものに、パセリのげたのをパンに挟むのや、大根の芽立てをんだつみな、夏の朝々百姓が売りに来るあれを、青々とでピーナツバタにえてパンに挟む。
朝御飯 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
その次に木の芽えがある。白味噌に木の芽を入れ、すり合わしたものに、たにしを和える。これも関西方面では日常茶飯として行われる。いかの木の芽和えなどに比して一段としゃれた美食である。
田螺 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
「そんなら漬物でえろ……」
「それでがりだ」と叫んで、自分の手を開けてみせたのは、「豆シャン」と綽名あだなのある美少年園部壽一そのべじゅいちだった。
麻雀殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
同じ豚でも生肉は非常に不消化だがハムにすると非常に消化がい。薩摩芋さつまいもおおきいのを食べると胸がやけるけれども裏漉うらごしにして梅干でえると胸へ持たん。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
別にサラダ油と西洋酢と等分にぜて塩胡椒を加えた中へ今の菜を細かく刻んでえてパンの間へ挟みます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
第三十二 クリームサンドイッチ は極く上等のお料理で、フレッシクリームとバターとをよく煉って塩で味をつけて前にある魚なぞをえてパンへ挟みます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
肉類のパイはシチューに煮たものかあるいは肉を崩してソースでえたものへペースをかけて焼きます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ハムの細かく切ったのと、仏蘭西豆ふらんすまめや西洋松露と混ぜて別の白ソースでえてパテーの中へ入れます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
それから白胡麻をって擂鉢すりばちでよく擂って今の油揚の白い処を入れてまた擂って味淋と酢と砂糖と少しの醤油で味をつけて今の品々と外に蓮根の煮たのを入れてよくえます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
今まで胡桃くるみを使う代りに南京豆、胡麻ごまを使う代りにも南京豆、胡麻えという所も南京豆和えというふうにしますが南京豆の方が胡桃よりも淡泊で或る場合には胡麻よりもよほど美味おいしゅうございます。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)