吹上ふきあ)” の例文
エエ、やりなおしの魔独楽まごま天津風あまつかぜ吹上ふきあげまわし、村雨下むらさめさがりとなって虹渡にじわたりの曲独楽きょくごま首尾しゅびよくまわりましたらご喝采かっさい
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ときは、粉雪こゆきを、ぐるみ煽立あふりたてますので、したからも吹上ふきあげ、左右さいうからも吹捲ふきまくつて、よくふことですけれども、おもてけやうがないのです。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
浜子は、壁によせて立ててある「吹上ふきあげ」というのあることに手をかけていた。「吹上げ」の十三本のいとの白いのが、ほのかに、滝が懸かったように見えている。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
斷崖だんがいうへ欄干らんかんもたれていこつたをりから、夕颪ゆふおろしさつとして、千仭せんじん谷底たにそこから、たき空状そらざまに、もみぢ吹上ふきあげたのが周圍しうゐはやしさそつて、滿山まんざんくれなゐの、大紅玉だいこうぎよく夕陽ゆふひえいじて
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いへのかゝり料理れうり鹽梅あんばいさけあぢ、すべて、田紳的でんしんてきにて北八きたはち大不平だいふへいしかれども温泉をんせんはいふにおよばず、谿川たにがはより吹上ふきあげの手水鉢てうづばち南天なんてん一把いちは水仙すゐせんまじへさしたるなど、風情ふぜいいふべからず。
熱海の春 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
地獄ぢごくかまふたつて、娑婆しやば吹上ふきあげた幻燈うつしゑおもふたよ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)