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とりとめ
ふりがな文庫
“
取留
(
とりとめ
)” の例文
聞れ吉兵衞其方は
狂氣
(
きやうき
)
にても致したるや
取留
(
とりとめ
)
もなきこと
而已
(
のみ
)
申
奴
(
やつ
)
かな然ながら千太郎は久八と兄弟なりとは如何の譯にて右樣の儀を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ちょうど今しがた、根津の交番で、
太
(
いた
)
く取乱した女が一人
掴
(
つかま
)
ったが、神月という人を尋ねるのだとばかりで、
取留
(
とりとめ
)
のないことを言っている。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「お
前様
(
めえさま
)
ならタダで上げます。」と言つて、
怎
(
ど
)
うしてもお
銭
(
あし
)
を請取らなかつただらう、などと、
取留
(
とりとめ
)
もない事を考へて、
畏
(
おそ
)
る
畏
(
おそ
)
る叔父を見た。
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
然
(
しか
)
れども「
取留
(
とりとめ
)
もなき風説、もしくは推察を以て、異国より日本を襲う事これあるべき趣、奇怪の異説等取交え著述す」
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
田圃に薄寒い風が吹いて、野末のここ彼処に、千住あたりの工場の煙が重く
棚引
(
たなび
)
いていた。疲れたお島の心は、
取留
(
とりとめ
)
のない物足りなさに
掻乱
(
かきみだ
)
されていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
自分は二人の会話を聞きながら、山中の平和といふ事と、人生の
巴渦
(
うづまき
)
といふ事を
取留
(
とりとめ
)
もなく考へて居た。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
それからは例の
妄想
(
もうそう
)
が
勃然
(
ぼつぜん
)
と首を
擡
(
もた
)
げて抑えても抑え切れぬようになり、
種々
(
さまざま
)
の
取留
(
とりとめ
)
も無い事が続々胸に浮んで、遂には
総
(
すべ
)
てこの頃の事は皆文三の疑心から出た暗鬼で
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
かう云ふ
取留
(
とりとめ
)
のない、tautologie に類し、circulus vitiosus に類した思想の連鎖が、
蜘蛛
(
くも
)
の糸のやうに私の精神に絡み附いて、私の読みさした巻を閉ぢさせ
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
そして、……どこを漏れて来る
燈
(
ともしび
)
の加減やら、
絽
(
ろ
)
の
縞
(
しま
)
の
袂
(
たもと
)
を透いて、蛍を
一包
(
ひとつつみ
)
にしたほどの、薄ら
蒼
(
あお
)
い、ぶよぶよとした
取留
(
とりとめ
)
の無い影が透く。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
取留
(
とりとめ
)
もなく気がソワついてるうちに歩くともなくモウ学校の門だ。
衝
(
つ
)
と入つた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
探
(
さぐ
)
り候へども藤五郎樣御兄弟の
行衞
(
ゆくゑ
)
は一向に存じ申さずと申し
其上
(
そのうへ
)
惣右衞門は病氣にて
臥居
(
ふしを
)
り
又
(
また
)
彼
(
かれ
)
が
悴
(
せがれ
)
重五郎も他國へ
行
(
ゆき
)
しよしにて家内には
只
(
たゞ
)
惣右衞門夫婦のみ
居
(
をり
)
候まゝ
種々
(
いろ/\
)
尋ね候へ共何分知らざる由ゆゑ夫れより近所
合壁
(
がつぺき
)
にて承たまはり候と雖どもこれと申す
取留
(
とりとめ
)
たる儀は御座なく候とぞ申しける
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そんな他愛のない、
取留
(
とりとめ
)
のない、しかも
便
(
たよ
)
りのない
孤
(
みなしご
)
に、ただ一筋に便らるる、梓はどうして棄てられよう。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
駈足をしてる様な
急
(
いそが
)
しい人々、さては、濁つた大川を上り下りの川蒸気、川の
向岸
(
むかう
)
に立列んだ、強い
色彩
(
いろ
)
の
種々
(
いろいろ
)
の建物、などを眺めて、
取留
(
とりとめ
)
もない、
切迫塞
(
せつぱつま
)
つた
苦痛
(
くるしみ
)
に
襲
(
おそは
)
れてゐた事などが
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
取
常用漢字
小3
部首:⼜
8画
留
常用漢字
小5
部首:⽥
10画
“取”で始まる語句
取
取出
取縋
取柄
取除
取次
取敢
取交
取做
取付