取殺とりころ)” の例文
伴「手前てめえは熱い汗をかいたろうが、おらつめてえ汗をかいた、幽霊が裏窓から這入はいって行ったから、萩原様は取殺とりころされて仕舞うだろうか」
ところが所天つれあいくなってからというものは、その男の怨霊おんりょう如何どうかすると現われて、可怖こわい顔をして私をにらみ、今にも私を取殺とりころそうとするのです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
なぜれをころさぬ、ころさぬか、れも三五らうたゞぬものか、幽靈ゆうれいになつても取殺とりころすぞ、おぼえて長吉ちようきちめと湯玉ゆだまのやうななみだをはら/\、はては大聲おほごゑにわつといだ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なるほどもり入口いりくちではなんこともなかつたのに、なかると此通このとほり、もつと奥深おくふかすゝんだら不残のこらず立樹たちきはうからちて山蛭やまびるになつてやう、たすかるまい、此処こゝ取殺とりころされる因縁いんねんらしい
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それだのに手前てめえ嫉妬やきもちをやかれちゃア詰らねえよ、おれは幽霊に怨みを受ける覚えはねえが、札を剥せば萩原様が喰殺くいころされるか取殺とりころされるにちげえねえから
それで金もよこさないでお札を剥さなけりゃア取殺とりころすというような訳の分らない幽霊は無いよ、それにお前にはうらみのある訳でもなしさ、ういえば義理があるから心配はない
如何いかにも残念だから入水じゅすいしてお村を取殺とりころすなどと狂気きちがいじみたことを申し……それはまアしからぬこと、音に聞えたる大伴の先生故、町人を打ち打擲などをすることはないはず
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)