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十月
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じふぐわつ
斯う
言つて
居りました「
私の
忰は
私の
言ふ
事を
容かずに、
十月の
祟の
日に
家出をしたばかりに、
海蛇に
捕られてしまひました。」
春よりして、
流言妖語、
壯に
行はれ、
十月の
十二日には、
忽ち、
兩水道に
毒ありと
流傳し、
市中の
騷動言ふべからず、
諸人水に
騷ぐこと、
火に
騷ぐが
如し。
『
十月』は
熱を
病みしか、
疲れしか
あの
利根川圖志の
中に、……えゝと——
安政二年乙卯十月、
江戸には
地震の
騷ぎありて
心靜かならず、
訪來る
人も
稀なれば、なか/\に
暇ある
心地して
云々と……
吾が
本所の
崩れたる
家を
後に
見て