いは)” の例文
うづむ今ま三四年せば卷烟草一本吸ひ盡さぬ間に蝦夷ゑぞ長崎へも到りヱヘンといふ響きのうちに奈良大和へも遊ぶべしいはんや手近の温泉塲などとひ
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
いはんやしも歐米流おうべいりう姓名せいめい轉倒てんたふするときは、こゝに覿面てきめんおこ難問なんもんがある。それは過去くわこ歴史的人物れきしてきじんぶつとき如何いかにするかといふことである。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
宗助そうすけ自分じぶん境遇きやうぐうやら性質せいしつが、夫程それほど盲目的まうもくてき猛烈まうれつはたらきあへてするにてきしないことふかかなしんだ。いはんや自分じぶんこのやまらすべきすでかぎられてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
聞く、新道の木曾川に沿へるの邊、奇景百出、岩石の奇、奔湍ほんたんの妙、旅客必ずこれを過ぎざるべからずと。いはんや、其路坦々たん/\としての如く、復た舊道の如く嶮峻ならざるに於てをや。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
いはんや明日よりはまつたく人跡いたらざるの地をさぐるに於てをや、嗚呼ああ予等一行はたして何れの時かよく此目的をたつするを得べき、想ふて前途のこといたれば感慨かんがい胸にせまり、ほとんどいぬる能はざらしむ
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
『え、きみ細君さいくん御子息ごしそく⁈』とわたくし意外いぐわいさけんだ。十ねんあひあひだに、かれ妻子さいし出來できことなに不思議ふしぎはないが、じついまいままでらなんだ、いはんや其人そのひといま本國ほんごくかへるなどゝはまつた寢耳ねみゝみづだ。