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兵子帯
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へこおび
ふりがな文庫
“
兵子帯
(
へこおび
)” の例文
旧字:
兵子帶
山西は石垣の上を右に左に
駈
(
か
)
け歩いて、今に女の姿が見えるか見えるかと、水の
面
(
おもて
)
を
覗
(
のぞ
)
きながら両手を腰にやって
兵子帯
(
へこおび
)
を解き解きしていた。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
白薩摩の汚れた
単衣
(
ひとえ
)
、紺染の
兵子帯
(
へこおび
)
、いが
栗天窓
(
ぐりあたま
)
、
団栗目
(
どんぐりめ
)
、ころころと肥えて丈の低きが、
藁草履
(
わらぞうり
)
を
穿
(
うが
)
ちたる、
豈
(
あに
)
それ多磨太にあらざらんや。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ネルの単衣に涼しさうな
生絹
(
きぎぬ
)
の
兵子帯
(
へこおび
)
、紺キヤラコの夏足袋から、細い柾目の下駄まで、去年の信吾とは大分違つてゐる。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
紬
(
つむぎ
)
の綿入に
縮緬
(
ちりめん
)
の
兵子帯
(
へこおび
)
をぐるぐる巻きつけて、
金縁
(
きんぶち
)
の
眼鏡越
(
めがねごし
)
に、道也先生をまぼしそうに見て、「や、御待たせ申しまして」と椅子へ腰をおろす。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
上布
(
じょうふ
)
の
帷子
(
かたびら
)
に
兵子帯
(
へこおび
)
という若い男が入って来て、「例のは九円には売れまいか」というと、店員は「どうしてどうして」と
頭
(
かしら
)
を
掉
(
ふ
)
って、指を三本出す。
一日一筆
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
一人は三尺帯に
突
(
つッ
)
かけ草履の仕事師の息子、一人はかわ色
金巾
(
がなきん
)
の羽織に紫の
兵子帯
(
へこおび
)
といふ坊様
仕立
(
じたて
)
、思ふ事はうらはらに、話しは常に喰ひ違ひがちなれど
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
お婆さんが茶を売って居る処へ三人連で浴衣に
兵子帯
(
へこおび
)
の
形姿
(
なり
)
で這入ろうとすると、何を思ったか掛茶屋の方を見て、車夫の峯松が石坂をトン/\駈下りました。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と呼んだが、はずみをくってとまらぬ石ころのように、黄色いメリンスの
兵子帯
(
へこおび
)
が背丈の真中でゆさぶられながら、実枝は谷底へ落ちこんでゆくような早さで遠ざかっていった。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
その結果、私は、
尋常
(
じんじょう
)
一年の課程をおさめたという証明書がもらえることになった。そこで私は、母の知合いの家の男の子の
絣
(
かすり
)
の
筒袖
(
つつそで
)
に
鬱金縮
(
うこんちぢ
)
みの
兵子帯
(
へこおび
)
を結んでもらって終業式に出た。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
鞄の中には、母が故郷から送ってきた手織の
袷
(
あわせ
)
と
兵子帯
(
へこおび
)
が入っていた。毛布もある。持物すべてを買って貰った。古着屋の主人は、母の心尽くしの袷を、汚らしそうに、指先で
抓
(
つま
)
みあげた。
みやこ鳥
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
蕭殺
(
しょうさつ
)
たる
此
(
こ
)
の秋の風は、
宵
(
よい
)
は
一際
(
ひときわ
)
鋭かつた。
藍縞
(
あいじま
)
の
袷
(
あわせ
)
を着て、黒の
兵子帯
(
へこおび
)
を締めて、羽織も無い、沢の
少
(
わか
)
いが
痩
(
や
)
せた
身体
(
からだ
)
を、
背後
(
うしろ
)
から絞つて、長くもない
額髪
(
ひたいがみ
)
を
冷
(
つめた
)
く払つた。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
古渡
(
こわたり
)
の
錫
(
すゞ
)
の
真鍮象眼
(
しんちゅうぞうがん
)
の
茶托
(
ちゃたく
)
に、
古染付
(
ふるそめつけ
)
の結構な茶碗が五人前ありまして、
朱泥
(
しゅでい
)
の
急須
(
きゅうす
)
に今茶を入れて呑もうと云うので、南部の
万筋
(
まんすじ
)
の
小袖
(
こそで
)
に
白縮緬
(
しろちりめん
)
の
兵子帯
(
へこおび
)
を締め、
本八反
(
ほんはったん
)
の
書生羽織
(
しょせいばおり
)
で
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ぶくりと黄色い
大面
(
おおづら
)
のちょんびり眉が、女房の古らしい、汚れた
半帕
(
ハンケチ
)
を首に巻いたのが、鼠色の
兵子帯
(
へこおび
)
で、ヌーと出ると、
捻
(
ひね
)
っても
旋
(
ねじ
)
っても、
眦
(
めじり
)
と一所に垂れ下る髯の
尖端
(
とっさき
)
を、グイと
揉
(
も
)
み
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、さてこうなると、心は
同一
(
おなじ
)
でも
兵子帯
(
へこおび
)
と
扱帯
(
しごき
)
ほど隔てが出来る。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
兵
常用漢字
小4
部首:⼋
7画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
帯
常用漢字
小4
部首:⼱
10画
“兵子”で始まる語句
兵子帶
兵子