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俯仰
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ふぎょう
ふりがな文庫
“
俯仰
(
ふぎょう
)” の例文
首を回らして過去を顧みるとき、私は
俯仰
(
ふぎょう
)
天地に
愧
(
は
)
ずる所なく、今ではいつ死んでも悔いないだけの、心の満足を得ている積りだ。
御萩と七種粥
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
それあ話しても
宜
(
え
)
え。吾輩としては
俯仰
(
ふぎょう
)
天地に
愧
(
は
)
じない事件で首を飛ばされたんだから、イクラ話しても構わんには構わんが、しかしだ。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
すべて本来の持ち味をこわさないことが料理の
要訣
(
ようけつ
)
である。これができれば
俯仰
(
ふぎょう
)
天地
(
てんち
)
に
愧
(
は
)
ずるなき料理人であり、これ以上はないともいえる。
味覚馬鹿
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
乗り合いは前後に
俯仰
(
ふぎょう
)
し、左右に
頽
(
なだ
)
れて、
片時
(
へんじ
)
も安き心はなく、今にもこの車
顛覆
(
くつがえ
)
るか、ただしはその身投げ落とさるるか。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
妻これに向って我聞く、犬の白きは前世人たりしと、汝
能
(
よ
)
く我を送り帰さんかと、犬
俯仰
(
ふぎょう
)
して命を聴くごとし、すなわち糧を包みこれに随う。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
「奉別の時、官吏坐に満ち、言発すべからず。一拝して去る。今や
乃
(
すなわ
)
ち地を隔つる三百里、
毎
(
つね
)
に
鶴唳
(
かくれい
)
雁語
(
がんご
)
を聞き、
俯仰
(
ふぎょう
)
徘徊
(
はいかい
)
自から
措
(
お
)
く
能
(
あた
)
わず」
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
両性の交際を厳にして徹頭徹尾
潔清
(
けっせい
)
の節を守り、
俯仰
(
ふぎょう
)
天地に
愧
(
は
)
ずることなからんとするには、人生甚だ長くしてその間に千種万様の事情あるにもかかわらず
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「一
揮
(
き
)
して、風を断てば、剣は
啾々
(
しゅうしゅう
)
と泣くのだ。星
衝
(
つ
)
いて、
剣把
(
けんぱ
)
から
鋩子
(
ぼうし
)
までを
俯仰
(
ふぎょう
)
すれば、
朧夜
(
おぼろよ
)
の雲とまがう光の
斑
(
ふ
)
は、みな剣の涙として拙者には見える」
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それで
俯仰
(
ふぎょう
)
天地に
愧
(
は
)
じないと思っている。会社の一課長だ。孔子様のように一世の師表をもって任じているのでない。つい目をかけるから、小柴さんとは交渉が多い。
四十不惑
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
これは総後見たるわしが
俯仰
(
ふぎょう
)
天地に断言してはばからん、武藤の権右衛門は男だでのう
艶妖記:忍術千一夜 第一話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
余は曙覧を論ずるに
方
(
あた
)
りて実にその
褒貶
(
ほうへん
)
に迷えり。もしそれ曙覧の人品性行に至りては
磊々落々
(
らいらいらくらく
)
世間の名利に拘束せられず、正を守り義を取り
俯仰
(
ふぎょう
)
天地に
愧
(
は
)
じざる、けだし絶無
僅有
(
きんゆう
)
の人なり。
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
内に省みて
疚
(
やま
)
しからず、自ら反して
縮
(
なお
)
きもまたこの物にして、乃ち天地に
俯仰
(
ふぎょう
)
して
愧怍
(
きさく
)
するなく、これを外にしては政府教門の箝制する所とならず、これを内にしては五慾六悪の
妨碍
(
ぼうがい
)
する所とならず
『東洋自由新聞』第一号社説
(新字旧仮名)
/
中江兆民
(著)
極めて科学的な、絶対に
誤魔化
(
ごまか
)
しの無い
俯仰
(
ふぎょう
)
天地に恥じざる真実の記録と信ずる次第で……御座います……かね……ヤレヤレ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「正しい! おれは
寸毫
(
すんごう
)
も、あの試合において、卑劣はしていない。……
俯仰
(
ふぎょう
)
して恥じるところはない」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
然れば則ち二人の者の罪、上は天子の明勅に違い、下は幕府の大義を
害
(
そこ
)
ない、内は列侯士民の望に
背
(
そむ
)
き、外は
虎狼
(
ころう
)
渓壑
(
けいがく
)
の欲を
飽
(
あ
)
かしむ。極天窮地、
俯仰
(
ふぎょう
)
容るるなし。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
然るに内行を潔清に維持して
俯仰
(
ふぎょう
)
慚
(
は
)
ずる所なからんとするは、気力乏しき人にとりて随分一難事とも称すべきものなるが故に、西洋の男女独り
木石
(
ぼくせき
)
にあらずまた独り強者にあらず
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
尊王攘夷
(
そんのうじょうい
)
を奉じる士気はさらにふるい、たとえ、一時は
脱藩
(
だっぱん
)
の汚名をうけても、やがては藩侯へ赤誠もとどくものと——彼の胸中には
俯仰
(
ふぎょう
)
して恥じる何ものもなかった。
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
唯の
百文
(
ひゃくもん
)
も借りたることはないその上に、品行は
清浄
(
しょうじょう
)
潔白にして
俯仰
(
ふぎょう
)
天地に
愧
(
はじ
)
ずと云う、
自
(
おのず
)
から
外
(
ほか
)
の者と違う処があるから、一緒になってワイ/\云て居ながら、マア
一口
(
ひとくち
)
に云えば
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
俯仰
(
ふぎょう
)
天地に恥じないというわけにはいかないんですね。で、これのできない親鸞ですから、非常に苦しんだのです。そして京都の六角堂へ叡山から百夜通ったというんです。
親鸞聖人について
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
城太郎のその答えは
俯仰
(
ふぎょう
)
天地に恥じないといったような語気を持っていた。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
俯仰
(
ふぎょう
)
天地に恥じないように、大きな声で、呶鳴った。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“俯仰”の意味
《名詞》
俯仰(ふぎょう)
俯(うつむ)くことと仰ぎ見こと、上下見回すこと。
起居動作。
(出典:Wiktionary)
俯
漢検1級
部首:⼈
10画
仰
常用漢字
中学
部首:⼈
6画
“俯仰”で始まる語句
俯仰天地
俯仰介立