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とりこ
ふりがな文庫
“
俘
(
とりこ
)” の例文
建文帝の事、得る有る無し。
而
(
しか
)
れども
諸番国
(
しょばんこく
)
の使者
和
(
か
)
に
随
(
したが
)
って朝見し、
各々
(
おのおの
)
其
(
その
)
方物
(
ほうぶつ
)
を
貢
(
こう
)
す。
和
(
か
)
又
三仏斉国
(
さんぶつせいこく
)
の
酋長
(
しゅうちょう
)
を
俘
(
とりこ
)
として献ず。帝
大
(
おおい
)
に
悦
(
よろこ
)
ぶ。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
これらの要素が相寄って、次第次第に彼女をある慾望の
俘
(
とりこ
)
にしてしまったのであった。もう今では、夜も昼も彼女の想念には一つことしかない。
決闘
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そしてわたしは、彼女に見つめられるが早いか、たちまち頭から足の先まで、すっかり彼女の
俘
(
とりこ
)
になってしまうのだ。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
おまえは自分でそそのかして
俘
(
とりこ
)
にした人間が、自由意志でおまえについて来るために、人間に自由の愛を求めたのだ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
ところが今では彼の想像力もそれに加わるようになった、というよりも、それの
俘
(
とりこ
)
になってしまった。
ジーキル博士とハイド氏の怪事件
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
▼ もっと見る
千曳
(
ちびき
)
の大岩を転がすなどは朝飯前の仕事である。由良が浜の沖の海賊は千人ばかり一時に
俘
(
とりこ
)
になつた。天の橋立の讐打ちの時には二千五百人の大軍を斬り崩してゐる。
僻見
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
假に義務があるとしても思想を
異
(
こと
)
にしてゐるのであるから、壓制の
俘
(
とりこ
)
となツてゐることは出來ない。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
レッシングの「
俘
(
とりこ
)
」、アンデルセンの「即興詩人」、その他の名訳をつぎつぎに紹介せられたことも、当時の文学の標準を高める上に、少からぬ影響を多くの作者に与えた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
然し、
若
(
もし
)
もあの人の心にそんな根性が爪の
垢
(
あか
)
ほどでも有つたらば、自分は潔くこの縁は切つて了ふ。立派に切つて見せる! 自分は愛情の
俘
(
とりこ
)
とはなつても、
未
(
ま
)
だ奴隷になる気は無い。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それからというもの、かれは本能の獣性の
俘
(
とりこ
)
となって、
牽
(
ひ
)
かれゆくままに行動した。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
愛とはなんであるかを思い知った最初のあの幸福だった日からこのかた、私はすっかり希望と嫉妬の
俘
(
とりこ
)
となって、一日として、ひと時として、それから解放されたことはございません。
エリザベスとエセックス
(新字新仮名)
/
リットン・ストレイチー
(著)
調伊企儺
(
ツキノイキナ
)
の妻
大葉子
(
オホバコ
)
も神憑りする女として、部将として従軍して、
俘
(
とりこ
)
になったものと考えられる。神功皇后などは明らかに、高級巫女なるがゆえに、君主とも、総大将ともなられたのである。
最古日本の女性生活の根柢
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
天兵一下、千里流血、君は頡利の
俘
(
とりこ
)
に同じく、国は高麗の続とならむ。方今聖度汪洋、爾が狂悖を恕す。急に宣しく過を悔い、歳事を勤修し、誅戮を取りて四
夷
(
い
)
の笑となる
毋
(
なか
)
れ。爾其れ三思せよ。
岷山の隠士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「概念」を排する中西氏が「概念」の
俘
(
とりこ
)
となつたわけである。
中西氏に答う
(旧字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
押し
退
(
の
)
ける勇気がなかったように、女の
俘
(
とりこ
)
になるのだった。
二人の友
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そこで君は己の
俘
(
とりこ
)
になっているわけだね。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
途端にまたもやあの女の蕩かすような魅力の
俘
(
とりこ
)
になってしまうだろうことは、彼もちゃんと心得ていたのである。
永遠の夫
(旧字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
わたしは、
咽
(
むせ
)
び
泣
(
な
)
きに泣きもしなかったし、絶望の
俘
(
とりこ
)
にもならなかった。また、そんな事がいったいいつ、どんな風に起ったのかと自問してみるでもなかった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
どこの何者かも知らない婦人とのロマンスだのという、誘惑的な想念がたちまち彼を
俘
(
とりこ
)
にしてしまった。
犬を連れた奥さん
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ただ工兵にさえ出合わなければ、大将をも
俘
(
とりこ
)
に出来る役である。保吉は
勿論
(
もちろん
)
得意だった。が、
円
(
まろ
)
まろと
肥
(
ふと
)
った小栗は任命の終るか終らないのに、工兵になる不平を訴え出した。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
宗垣
(
そうえん
)
、
陳性善
(
ちんせいぜん
)
、
彭与明
(
ほうよめい
)
は死し、何福は
遁
(
のが
)
れ走り、
陳暉
(
ちんき
)
、
平安
(
へいあん
)
、
馬溥
(
ばふ
)
、
徐真
(
じょしん
)
、
孫晟
(
そんせい
)
、
王貴
(
おうき
)
等、皆
執
(
とら
)
えらる。平安の
俘
(
とりこ
)
となるや、燕の軍中歓呼して地を動かす。曰く、
吾等
(
われら
)
此
(
これ
)
より安きを
獲
(
え
)
んと。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
不意打を喰はせて
俘
(
とりこ
)
にするのだが、
後
(
あと
)
の連中は先へ來てゐる自分の仲間が此樣な災難に逢ツてゐるとは知らない。で、
後
(
あと
)
から後から飛んで來るのを、
片
(
かた
)
ツ
端
(
ぱし
)
から叩落して、螢籠の中へ入れる。
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
これを
俘
(
とりこ
)
にしたさに父親に少しばかりの金を貸したのだ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「それではあなたはきのふ仮装舞踏にお出でしたか。一体僕は舞踏会には行かない流義です。それにゆうべは
俘
(
とりこ
)
になつてゐる人の所にゐなくてはならなかつたのです。」
鱷
(新字旧仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
彼女が
今日
(
きょう
)
明日
(
あす
)
にも不純な情慾の
俘
(
とりこ
)
になるのをとどめる力はあるまいと思い、自分はもう酔いどれ女のように踏み堪える力はないのだと思い、不安な気持になるのだった。
決闘
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
更に「馬上縁」の女主人公梨花を見れば彼女の愛する少年将軍を馬上に
俘
(
とりこ
)
にするばかりではない。彼の妻にすまぬと言ふのを無理に結婚してしまふのである。
胡適
(
こてき
)
氏はわたしにかう言つた。
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
其
(
その
)
妻子を
併
(
あわ
)
せて
俘
(
とりこ
)
として献じ、
大
(
おおい
)
に南西諸国に
明
(
みん
)
の威を揚げ
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「嘘をついていらあ。この前に大将を
俘
(
とりこ
)
にしたのだってあたいじゃないか?」
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
つまり、これらのいくじない反逆者の良心を、彼らの幸福のため永久に征服して、
俘
(
とりこ
)
にすることのできる力は、この地上にたった三つよりないのだ。その力というのは、奇跡と神秘と政権である。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
更に「馬上縁」の女主人公梨花を見れば彼女の愛する少年将軍を馬上に
俘
(
とりこ
)
にするばかりではない。彼の妻にすまぬと言うのを無理に結婚してしまうのである。
胡適
(
こてき
)
氏はわたしにこう言った。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかしペンを持つてゐる時にはお前の
俘
(
とりこ
)
になるかも知れない。
闇中問答
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
五十
俘
(
とりこ
)
或阿呆の一生
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
俘
漢検1級
部首:⼈
9画
“俘”を含む語句
俘虜
俘囚
伍俘
俘虜救恤事務
被俘人