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俄雨
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にわかあめ
ふりがな文庫
“
俄雨
(
にわかあめ
)” の例文
はじめて法隆寺を訪れた日は、
俄雨
(
にわかあめ
)
の時折襲ってくる日で、奈良の郊外は見物人も少くひっそりと静まりかえっていた。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
元々村へ出るには、
沢辺
(
さわべ
)
まで降りて、沢伝いに里へ下るのだから、
俄雨
(
にわかあめ
)
で谷が急にいっぱいになったが最後、米など
背負
(
しょ
)
って帰れる訳のものでない。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ひょっとして、
霹靂
(
へきれき
)
一声、
俄雨
(
にわかあめ
)
が来たあとは、たちまち晴れて、冴え冴えした月影が心の空に磨き出るのであります。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
さきに言うのを忘れたが、
俄雨
(
にわかあめ
)
に降られて私たちの逃げこんだ常設館ニュウ・ギャラリイのスクリインに、ショウの「
物を云う映画
(
テレヴィジョン
)
」がうつっているのだ。
踊る地平線:03 黄と白の群像
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
麗
(
うららか
)
さも
長閑
(
のどか
)
さも、余り
積
(
つも
)
って身に染むばかり暖かさが過ぎたので、思いがけない
俄雨
(
にわかあめ
)
を
憂慮
(
きづかわ
)
ぬではなかった処。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
翌十五年一月号の「苦楽」へは、生まれてはじめて自作自演落語と題して「法界坊と
俄雨
(
にわかあめ
)
」を発表した。
わが寄席青春録
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
俄雨
(
にわかあめ
)
があり、夫は、リュックを背負い靴をはいて、玄関の式台に腰をおろし、とてもいらいらしているように顔をしかめながら、雨のやむのを待ち、ふいと一言
おさん
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
俄雨
(
にわかあめ
)
が大いに降ると、思いもよらない処に臨時の河が出来るので、交通に不便を来たすことが往々ある。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
雨
(
あめ
)
の
方
(
ほう
)
はただ
一人
(
ひとり
)
の
竜神
(
りゅうじん
)
の
仕事
(
しごと
)
じゃった。
汝
(
そなた
)
一人
(
ひとり
)
の
為
(
た
)
めに
降
(
ふ
)
らせたまでの
俄雨
(
にわかあめ
)
であるから、
従
(
したが
)
ってその
仕掛
(
しかけ
)
もごく
小
(
ちい
)
さい……。が、
雷
(
かみなり
)
の
方
(
ほう
)
はあれで
二人
(
ふたり
)
がかりじゃ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
板屋根をさしかけたほッたて小屋,これは山方の人たちが
俄雨
(
にわかあめ
)
に出遇ッた時、身をかくす
遁
(
のが
)
れ場所で,正面には畳が四五畳、ただしたたというもみのないほどの
汚
(
きた
)
ならしいやつ
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
その食慾は、穏やかな木の
葉簇
(
はむら
)
に
俄雨
(
にわかあめ
)
が降りそゝぐやうな音が彼等の顎から起る位に荒い。その室には実に無数の虫を容れてあるのだ。幼虫は四週間から五週間の間育つて行く。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
ここは村から一番奥の焼畑で、あまりに離れているので、畑仕事の最中の
俄雨
(
にわかあめ
)
に逃げ込むため、また日の短い時分、泊りがけに農事をするためにこしらえた粗末な建物にすぎない。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
そんな間食をしたりすることもここでは遠慮なくできる中将であったから、おりから
俄雨
(
にわかあめ
)
の降り出したのにも出かけるのをとめられて尼君となおもしみじみとした話をかわしていた。
源氏物語:55 手習
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
いつも
俄雨
(
にわかあめ
)
があると、蘆屋じゅうの自動車が引っ張り
凧
(
だこ
)
になるので、貞之助の注意で直ぐに電話をして置いたのであるが、三人の身支度が出来上って、五時十五分が二十分になっても
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
空巣
(
あきす
)
ねらいの事はさて置き、
俄雨
(
にわかあめ
)
の用心には外出のたびごとに縁側と窓の雨戸をしめて帰るとまたそれをあけなくてはならない。むかしから雨戸と女房に具合の好いものはないという
諺
(
ことわざ
)
がある。
仮寐の夢
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
三時に
俄雨
(
にわかあめ
)
があり、いくらか、涼しくなった。
戯作者文学論:――平野謙へ・手紙に代えて――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
二十日の午後、
俄雨
(
にわかあめ
)
があった。
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
慌てる紋は
泡沫
(
あぶく
)
のよう。
野袴
(
のばかま
)
の
裾
(
すそ
)
を
端折
(
はしょ
)
って、
灸
(
きゅう
)
のあとを出すのがある。おお、おかしい。(
微笑
(
ほほえ
)
む)
粟粒
(
あわつぶ
)
を一つ二つと
算
(
かぞ
)
えて拾う雀でも、
俄雨
(
にわかあめ
)
には
容子
(
ようす
)
が可い。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小夜具
(
こよぎ
)
を
被
(
かぶ
)
って、仁王
立
(
だち
)
、一斗
樽
(
だる
)
の三ツ目入道、裸の
小児
(
こども
)
と一所になって、さす手の扇、ひく手の手拭、揃って人も無げに
踊出
(
おどりいだ
)
した頃は、
俄雨
(
にわかあめ
)
を運ぶ機関車のごとき黒雲が、音もしないで
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
きちがい
日和
(
びより
)
の
俄雨
(
にわかあめ
)
に、風より群集が狂うのである。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“俄雨(
驟雨
)”の解説
驟雨(しゅう雨、しゅうう, en: rain showers)は、対流性の雲から降る雨のこと。降水強度が急に変化し、降り始めや降り止みが突然で、空間的な雨の分布を見ても変化が大きく散発的であるのが特徴。特に、短時間で止むような一過性の驟雨をにわか雨(俄雨、にわかあめ)という。
(出典:Wikipedia)
俄
漢検準1級
部首:⼈
9画
雨
常用漢字
小1
部首:⾬
8画
“俄”で始まる語句
俄
俄然
俄盲目
俄盲
俄仕込
俄分限
俄破
俄羅斯
俄商人
俄盲人