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伽羅
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きやら
ふりがな文庫
“
伽羅
(
きやら
)” の例文
伽羅
(
きやら
)
大盡
磯屋
(
いそや
)
貫兵衞の凉み船は、隅田川を
漕
(
こ
)
ぎ上つて、
白鬚
(
しらひげ
)
の少し上、川幅の廣いところを
選
(
よ
)
つて、中流に
碇
(
いかり
)
をおろしました。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その拍子に、
伽羅
(
きやら
)
の油のにほひが、ぷんと私の鼻を打つた。舟の中に、女がゐる——その位な事は、土手の上から川を見下した時に、知つてゐた。
世之助の話
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
誰
(
た
)
れが
爲
(
ため
)
の
色
(
いろ
)
ならず
君
(
きみ
)
におくれて
鏡
(
かゞみ
)
の
影
(
かげ
)
に
合
(
あは
)
す
面
(
おもて
)
つれなしとて
伽羅
(
きやら
)
の
油
(
あぶら
)
の
香
(
かを
)
りも
留
(
と
)
めず
亂
(
みだ
)
れ
次第
(
しだい
)
の
花
(
はな
)
の
姿
(
すがた
)
やつれる
身
(
み
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
紫檀
(
したん
)
や、
黒檀
(
こくたん
)
や、
伽羅
(
きやら
)
、
肉桂
(
にくけい
)
なぞを送つてゐたものだが、その後、日本の鎖国の為に、帰国出来なくなつた日本人が、此の地に同化した様子で、墓碑の表なぞに
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
見られ其方手元に之有し
伽羅
(
きやら
)
一兩目餘入たる金の
香箱
(
かうばこ
)
は細川越中守方より訴へに及びし
紛失
(
ふんじつ
)
の品なり其方如何して
所持
(
しよぢ
)
致せしや有
體
(
てい
)
に申せと云はれしかば九助は
首
(
かうべ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
剰
(
あまつ
)
さへ今迄の住居に比べて、こゝは蚊も少なく、余りに
喧
(
やかま
)
しかりし蛙の声もなく、畳も
襖
(
ふすま
)
も
障紙
(
しやうじ
)
も壁も皆新しくて、庭には二百年も経ぬらしと思はるゝ
伽羅
(
きやら
)
の樹あり。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
蜘蛛
(
くも
)
の
網
(
す
)
や
塵埃
(
ほこり
)
や
乞食
(
こじき
)
の頭のやうにボサ/\と延びた枝や——その中でも、金目な大きな
伽羅
(
きやら
)
の丸い樹はいつか持つて行つたと見えて、掘つたあとが大きくそこに残つてゐた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
先程
(
さきほど
)
から
萬屋
(
よろづや
)
の
主人
(
あるじ
)
は、四
畳
(
でふ
)
の
囲
(
かこひ
)
へ
這入
(
はい
)
り、
伽羅
(
きやら
)
を
焼
(
た
)
いて
香
(
かう
)
を聞いて
居
(
を
)
りました。
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
うたたねの御枕あまた
候
(
さふら
)
ふなりかひなも
伽羅
(
きやら
)
の箱も鼓も
舞姫
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
伽羅
(
きやら
)
まじり消え
失
(
う
)
する
黒蒸汽
(
くろじようき
)
笛
(
ふえ
)
ぞ
呻
(
うめ
)
ける。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
伽羅
(
きやら
)
立ち馨る閨の戸に
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
「有難いツ、
伽羅
(
きやら
)
大盡の果報にあやかつてそれでは頂戴仕るとしませうか、——おつと散ります、散ります」
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「富岡さん、本当の
伽羅
(
きやら
)
の木を御覧になつた事がありますか?」
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
「兄貴の磯屋の身代を、どれだけくすねたか解りやしません。近頃磯屋の身上が
歪
(
ゆが
)
んで、
伽羅
(
きやら
)
大盡の貫兵衞は首も廻らないのに、菊次郎だけは、大ホクホクだ」
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「香木のある穴だ。
伽羅
(
きやら
)
だか、
沈香
(
ぢんかう
)
だか知らないが、とにかく、名香をしまつてある穴だ。來い、八」
銭形平次捕物控:140 五つの命
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「外でもございません——研屋五兵衞の遺書に
伽羅
(
きやら
)
の匂ひの浸み込んで居たことを御存じでせうか」
銭形平次捕物控:072 買つた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
盜賊は入りませんかと——いや待て/\——大名屋敷に
伽羅
(
きやら
)
や
沈香
(
ぢんかう
)
があるのは不思議はないが、大名が町家の子供を五人もさらつて行く道理はない——それにお新の弟の信太郎は
銭形平次捕物控:140 五つの命
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「向柳原から、鎌倉河岸までわざ/\
伽羅
(
きやら
)
の油を買ひに行くのか、お前は?」
銭形平次捕物控:187 二人娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「後では——二度目に戻つて來たときは、
伽羅
(
きやら
)
の油の匂がしたと言つた筈だ」
銭形平次捕物控:294 井戸端の逢引
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
伽
漢検準1級
部首:⼈
7画
羅
常用漢字
中学
部首:⽹
19画
“伽羅”で始まる語句
伽羅油
伽羅枕
伽羅沙
伽羅大盡
伽羅千代萩
伽羅柿
伽羅蕗
伽羅大尽
伽羅文庫
伽羅沈香