不仁ふじん)” の例文
「禽獣のため、人を殺すは不仁ふじんである。法も行き過ぎてはこれを明かに処すこともできず、法なきほうがまさるようなことになる」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
晏子あんし(五〇)戄然くわくぜんとして衣冠いくわん(五一)をさめ、しやしていはく、『えい不仁ふじんいへども、やくまぬかれしむ。なんつをもとむるのすみやかなるや』と。石父せきほいはく、『しからず。 ...
実にその通りで、数万の金をたくわえても人の人たることを忘れぬ以上は、かね邪魔じゃまにもならぬし、悪用もされぬ。富む者必ず不仁ふじんではない。また不仁ふじんのみ富むわけでもない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
さりながら飼鳥かひどり遊戲あそびにあらざるを、なんぢ心附こゝろづかざりけむ、飼鳥かひどりこのものみなその不仁ふじんなるをらざるなるべし、はじめよりしりぞけてもちゐざらむはることながら
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
長崎警察署の不仁ふじんなる、人をる事宛然さながら犬猫なりしかば、一時は非常に憤慨せしもむかし徳川幕府が維新の鴻業こうぎょうあずかりて力ある志士を虐待ぎゃくたいせし例を思い浮べ、深く思いあきらめたりしが、今大阪にては
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
婦人ふじんこゝろ不仁ふじんよくつね理不盡りふじんたくみなりけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
生きていても、あなたとこの世のご縁はないし、ただ心は日ごと苦しみ、身は不仁ふじんな太師のにえになって、夜々、さいなまれるばかりです。せめて、後世ごせちぎりを楽しみに、冥世あのよへ行って待っております
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私欲しよくつかひ候だん不仁ふじん不義ふぎ仕方しかたなり因て三ヶのかまひの上中追放ちうつゐはう申付る又兼事かねことは同罪とは申ながら元來ぐわんらいおろかなる生得しやうとくと相見え淺果あさはかなる致し方故輕追放けいつゐはうの上江戸かまひ申付る次に宅兵衞事は吾助等がたくみは人外なれども其の巧みにおちいり兼と密通みつつうしたるは汝がおろかなる故なり然ば金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)