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一葉
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いちよう
ふりがな文庫
“
一葉
(
いちよう
)” の例文
一葉
(
いちよう
)
さんの小説の男などがその例ですが、女の書く女も大抵やはり嘘の女、男の読者に気に入りそうな女になっているかと存じます。
産屋物語
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「課長どの、こういう方がお目にかかりたいと
仰有
(
おっしゃ
)
いますが」と部下の一人が、
一葉
(
いちよう
)
の名刺を持って来た。とりあげてみると
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
山田美妙
(
やまだびみょう
)
のごとき
彗星
(
すいせい
)
が現われて消え、
一葉
(
いちよう
)
女史をはじめて多数の
閨秀作者
(
けいしゅうさくしゃ
)
が秋の野の草花のように咲きそろっていた。
科学と文学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
と、おりと婆さんはそう語ってから、ふと思い出したように、立って
仏壇
(
ぶつだん
)
の
扉
(
とびら
)
を開いて、
位牌
(
いはい
)
の傍に飾ってあった
一葉
(
いちよう
)
の写真を持って来て示した。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私がここに書こうとする小伝の主
一葉
(
いちよう
)
女史も、
病葉
(
わくらば
)
が、霜の
傷
(
いた
)
みに
得
(
え
)
堪
(
たえ
)
ぬように散った、世に惜まれる
女
(
ひと
)
である。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
後藤宙外子
(
ごとうちゅうがいし
)
が作中たしか『松葉かんざし』と題せし一篇あり。浅草の風俗を描破する事なほ
一葉
(
いちよう
)
女史が『
濁江
(
にごりえ
)
』の
本郷丸山
(
ほんごうまるやま
)
におけるが如きものとおぼえたり。
葡萄棚
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
一葉
(
いちよう
)
落ちてと云う句は古い。悲しき秋は必ず梧桐から手を
下
(
くだ
)
す。ばっさりと垣にかかる
袷
(
あわせ
)
の頃は、さまでに心を動かす
縁
(
よすが
)
ともならぬと油断する
翌朝
(
よくあさ
)
またばさりと落ちる。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
青い空の中へ
浮上
(
うきあが
)
ったように
広〻
(
ひろびろ
)
と潮が張っているその上に、風のつき抜ける日蔭のある
一葉
(
いちよう
)
の舟が、天から落ちた
大鳥
(
おおとり
)
の一枚の羽のようにふわりとしているのですから。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
一、
梧桐
(
ごどう
)
一葉
(
いちよう
)
落
(
おつ
)
の意を詠じなば和歌にても秋季と為るべし。俳句にては
桐一葉
(
きりひとは
)
を秋季に用うるのみならず、ただ桐と言ふ一語にて秋季に用うる事あり。
鷹狩
(
たかがり
)
は和歌にても冬季なり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
不図墓地に入った。此処は余も知って居る。曾て
一葉
(
いちよう
)
女史
(
じょし
)
の墓を見に来た時歩き廻った墓地である。余は月あかりに墓と墓の間を
縫
(
ぬ
)
うて歩いた。誰やらの墓の
台石
(
だいいし
)
に腰かけて見た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
私は
一葉
(
いちよう
)
と云う名前がとてつもなく気に入っている。尾崎紅葉もいい。小栗風葉もいい。みんな偉いひとには「葉」の字がつくので、私も講談を書くときは五葉位にしてみようかと考えた。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
下
(
した
)
なる流にはわれ
一葉
(
いちよう
)
の舟を
泛
(
うか
)
べて、かなたへむきてもろ手高く挙げ、
面
(
おもて
)
にかぎりなき愛を見せたり。舟のめぐりには数知られぬ、『ニックセン』、『ニュムフェン』などの形
波間
(
なみま
)
より出でて
揶揄
(
やゆ
)
す。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
眉山が
一葉
(
いちよう
)
女史との
浮名
(
うきな
)
を歌われたのもその頃であった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
明治時代の吉原とその附近の町との情景は、
一葉
(
いちよう
)
女史の『たけくらべ』、
広津柳浪
(
ひろつりゅうろう
)
の『
今戸心中
(
いまどしんじゅう
)
』、
泉鏡花
(
いずみきょうか
)
の『註文帳』の如き小説に、滅び行く最後の面影を残した。
里の今昔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼は封筒の頭を
截
(
き
)
ると、
一葉
(
いちよう
)
の海軍
罫紙
(
けいし
)
をひっぱり出した。長造の眼は、釘づけにでもされたように、その紙面の一点に止っていたが、
軈
(
やが
)
てしずかに両眼は閉じられた。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一葉
(
いちよう
)
女史の「
経
(
きょう
)
づくえ」は、作として
他
(
ほか
)
のものより高く評価されていないが、わたしはあの「経づくえ」のお園の気持ちを、いまでも持っている女はすけなくはなったであろうが、あるとおもう
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
わたしはどうかしてこの野卑
蕪雑
(
ぶざつ
)
なデアルの文体を
排棄
(
はいき
)
しようと思いながら多年の
陋習
(
ろうしゅう
)
遂に改むるによしなく空しく
紅葉
(
こうよう
)
一葉
(
いちよう
)
の如き文才なきを
歎
(
たん
)
じている次第であるノデアル。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そう云って青年紳士は、
一葉
(
いちよう
)
の名刺をさしだした。とりあげて読んでみると
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その時分の感想では
露伴
(
ろはん
)
先生の『
讕言長語
(
らんげんちょうご
)
』と
一葉
(
いちよう
)
女史の諸作とに
最
(
もっとも
)
深く心服した。
正宗谷崎両氏の批評に答う
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一葉
(
いちよう
)
女史の『たけくらべ』には「ぞかし」という語が幾個あるかと数え出した事もあれば、
紅葉山人
(
こうようさんじん
)
の諸作の中より同一の警句の再三重用せられているものを捜し出した事もあった。
十日の菊
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“一葉”の意味
《名詞》
一枚の葉。
一艘の小さな舟。
紙など薄いものが一枚であること。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
葉
常用漢字
小3
部首:⾋
12画
“一葉”で始まる語句
一葉舟
一葉女史
一葉摺
一葉蘭