一段落いちだんらく)” の例文
何か仕事の一段落いちだんらくがつくと、いつも「ご苦労さま」とお礼をいい、かりにその仕事に意に満たないことがあっても、一応はほめてやり
青年の思索のために (新字新仮名) / 下村湖人(著)
ところ宗助そうすけがゐなくなつて、自分じぶん義務ぎむ一段落いちだんらくいたといふゆるみがるとひとしく、にごつた天氣てんきがそろ/\御米およねあたまはじめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そして最後に、自分が夢遊病者むゆうびょうしゃであって、妻を殺してしまったというところまで考えると、それで一段落いちだんらくになるのです。
(新字新仮名) / 海野十三(著)
ぼんの十六日なので鉱山こうざんも休んで給料きゅうりょうはたけ仕事しごと一段落いちだんらくついて今日こそ一日そこらの木やとうもろこしをく風も家のなかのけむりす青い光のぼうもみんな二人のものだった。
十六日 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
夕食前の小半時こはんとき巴里パリのキャフェのテラスは特別に混雑する。一日の仕事が一段落いちだんらくついて、今少しすれば食欲三昧ざんまいの時が来る。それまでに心身の緊張をほぐし、おもむろに食欲に呼びかける時間なのだ。
異国食餌抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
私はこれで一段落いちだんらくついたものと思って、例の坂越さごしの男の事を、それぎり念頭に置かなかった。するとその男がまた短冊を封じてこした。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まあ一段落いちだんらくというそのひるすぎでした。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
はるやうやく一段落いちだんらくいた」とかたつてゐた。そこへきよ坂井さかゐからの口上こうじやういだので、御米およねをつとかほ微笑びせうした。宗助そうすけ茶碗ちやわんいて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そこへ持って来て、相手がぴたりと留まって、一段落いちだんらくつけた上、さて改めて、まだ下りる気かと正式に尋ねられると、まだ下りるべき道程みちのりはけっして一丁や二丁でないと云う意味になる。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
戦争は、この内部の事実を、そのまま表面へ追い出す事ができるかできないかで、一段落いちだんらくつかなければならない道理であった。津田さえ正直ならばこれほどたやすい勝負はない訳でもあった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
座敷ざしき張易はりかへんだときにはもう三時過じすぎになつた。さううしてゐるうちには、宗助そうすけかへつてるし、ばん支度したくはじめなくつてはならないので、二人ふたりはこれを一段落いちだんらくとして、のり髮剃かみそりかたづけた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)