“はぜ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
沙魚37.5%
30.8%
19.2%
黄櫨4.8%
1.9%
1.0%
1.0%
1.0%
稲架1.0%
迸裂1.0%
(他:1)0.8%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
おつなものは岡三鳥の作つた、岡釣話、「あれさ恐れだよう、」と芸者の仮声こわいろを隅田川の中で沙魚はぜがいふんです。
いろ扱ひ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
鮒ほど餌つきの良い魚は無いですから、誰が釣ツても上手下手無く、大抵の釣客つりしは、鮒か沙魚はぜで、手ほどきをやるです。
元日の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
「や、やああ。」と夕暮は両手を半ば上へあげて、「どうだ、あの赤いのは。」と驚かせる。宮様の松山のはぜ紅葉を見たのだ。
蜜柑山散策 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
いつも子供たちが隠れん坊をして遊ぶ米倉や、はぜの実倉は無論のこと、納屋や、便所や、床の下まで、総がかりでしらべた。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
船底にバチャバチャ生きている魚を見ると、鯉、ますがある。すずき、はぜにくろ鯛がある。手長えびやなまずもある。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
芸者の言つた「ムツゴロウ」とは、肥前の有明の海にしか棲まない、はぜに似た小魚で、知事と同じやうに色黒で出目である。
とたんに、さながら秋の末の黄櫨はぜの葉が風に見舞われたように、猿は、一瞬に影をひそめてしまった。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それがビッシリと小径こみちおおい隠して、木の下からこの辺まで約五町くらいもあろう。この辺から黄櫨はぜの木立が、眼立って多くなってくる。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
いくら釣っても、ざすふなはかゝらず、ゴタルと云うはぜの様な小魚こざかなばかり釣れる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
いくら釣つても、目ざす鮒はかゝらず、ゴタルと云ふはぜの樣な小魚ばかり釣れる。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
縁先の敷石の上に置いた盆栽のはぜには一二枚の葉が血のように紅葉したまま残って居た。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
鼠色ねずみいろしたその羽の色と石の上に買いた盆栽のはぜ紅葉こうようとが如何にあざやかに一面の光沢つやある苔の青さに対照するでしょう。
監獄署の裏 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それにしては話声もせずかがりはぜる音も聞えぬのは何故であろう? いや、矢張やッぱりおれが弱っているから何も聞えぬので、其実味方は此処に居るに相違ない。
それからやがて本式に稲架はぜにかけ並べられる。
山の秋 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
そこへ塩気しおけがつく、腥気なまぐさっけがつく、魚肉にく迸裂はぜて飛んで額際ひたいぎわにへばり着いているという始末、いやはや眼も当てられない可厭いやいじめようで、叔母のする事はまるで狂気きちがいだ。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
はもを焼くにおいの末に中の島公園の小松林が見渡せる大阪天満川の宿、橋を渡る下駄の音に混って、夜も昼も潺湲せんかんの音を絶やさぬ京都四條河原の宿、水も砂も船も一いろの紅硝子べにガラスのように斜陽のいろに透き通る明るい夕暮に釣人が鯊魚はぜを釣っている広島太田川の宿。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)