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げきらう
此
墓石大小によりて住職の心に
応ぜず
淵へかへせば、その
夜淵
逆浪して住職のこのむ石を淵に出したる事度々あり。
居ながら
海上海底の
光景を
觀測する
事を
得べく、
自動照凖器をもつて
潮流の
速力を
知り、
波動の
方向を
定め、
海戰既に
始まらは、
艇は
逆浪怒濤の
底を
電光の
如く
駛る、
其間に
立つて
偶には
激浪怒濤もあつて
欲しい、
惡風暴雨もあつて
欲しい、と
云つて
我輩は
決して
亂を
好むのではない、
只だ
空氣が五
日の
風に
由て
掃除され、十
日の
雨に
由て
淨められんことを
希ふのである。
下界を
見ると
眼も
眩むばかりで、
限りなき
大洋の
面には、
波瀾激浪立騷ぎ、
數萬の
白龍の
一時に
跳るがやうで、ヒユー、ヒユーと
帛を
裂くが
如き
風の
聲と
共に、
千切つた
樣な
白雲は
眼前を
掠めて
飛ぶ