“いっとう”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
一統29.2%
一等16.7%
一刀12.5%
一頭8.3%
一幀4.2%
一東4.2%
一榻4.2%
一濤4.2%
一燈4.2%
一筒4.2%
一陶4.2%
逸宕4.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
たださへ狭くなつたところへ、こゝで又、奥行を一間二尺も切りちぢめられちやあ仕様しようがないが、それもまあ世間一統いっとうのことですから、わたしのうちばかりが苦情を云つても始まらないと
赤い杭 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
一等いっとうげんじてこれを放免ほうめんしたるは文明の寛典かんてんというべし。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
一刀いっとうをピタリと片身かたみ青眼せいがんけたという工合に手丈夫てじょうぶな視線を投げかけた。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
どの道、春廼舎の『書生気質』や硯友社連の諸作と比べて『浮雲』が一頭いっとうぬきんずる新興文芸の第一の曙光しょこうであるは争う事は出来ない。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
主人はすぐに快諾かいだくしました。そうしてその庁堂の素壁そへきへ、一幀いっとう画幅がふくけさせました。
秋山図 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
詩だって君、詩人の詩というわけにはいかないが、ちゃあんと一東いっとういんを踏んでいるし、行の字を転換すれば、平仄ひょうそくもほぼ合っているそうだ、無茶なことはしておらんそうだ。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
われも片隅なる一榻いっとうに腰掛けて、賑はしきさま打見るほどに、かどの戸あけてりしは、きたなげなる十五ばかりの伊太利栗イタリアぐりうりにて、焼栗盛りたる紙筒かみづつを、うずたかく積みし箱かいこみ
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
一濤いっとう一濤ぶつかってくるたびに、心許こころもとなく、船の力を疑い出すのは人情というものじゃ
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そういうところを通りぬけ、玉川に掛っている無明むみょうの橋を渡って、奥の院にまいり、先祖代々の霊のために、さかんに然える護摩ごまの火に一燈いっとうを献じた。これは自身の諸悪業しょあくごうをたやすためでもある。
仏法僧鳥 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
医者はこう云ったがまた一筒いっとうの注射を心臓部に試みた。もとよりそれは何の手段にもならなかった。松本はとおるような娘の肌に針の突き刺される時、おのずから眉間みけんけわしくした。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
発句の代りに一陶いっとうの酒を楽しんで、ありし昔の夢にふけりながら、多年の間、山上でひとり夜を明かすことを苦なりとはしていません。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
地質は石灰岩のため風浪に浸蝕されて逸宕いっとうたる趣きだ。上陸直後税関だが、われわれ船客の一番年長者が、一人税金をとられた。この人の荷物だけは底から見るも無惨にひっかき廻された。
欧洲紀行 (新字新仮名) / 横光利一(著)