一刀いっとう)” の例文
端折はしょりを高く取って重ねあつの新刀を引き抜き、力に任せてプスーリ一刀いっとうあびせ掛けましたから、惣次郎もひらりと身を転じて、脇差の柄に手を掛け抜こうとすると
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一刀いっとうをピタリと片身かたみ青眼せいがんけたという工合に手丈夫てじょうぶな視線を投げかけた。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
新吉は刀を取直して一刀いっとう三藏の脇腹をこじりましたから、三藏もついに其の儘息が絶えました。すると手早く三藏の懐へ手を入れ、胴巻の金を抜き取って死骸を川の中へ投げ込んで仕舞い
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一刀いっとうけずりてはしばら茫然ぼうぜんふさげば花漬はなづけめせと矯音きょうおんもらす口元の愛らしき工合ぐあい、オヽそれ/\と影をとらえてまたかたな、一トのみ突いては跡ずさりしてながめながら、幾日の恩愛たすけられたり扶けたり
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)