“いっし”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
一矢36.5%
一枝17.3%
一指11.5%
一糸9.6%
一子5.8%
乙巳3.8%
縊死3.8%
一刺1.9%
一十1.9%
一歯1.9%
一翅1.9%
一視1.9%
逸史1.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「尊命は謝すが、亡家の庭にも、一本の桜はあってしかるべく存ずる。不遜ふそんながら、伝来の一矢いっしむくい参らせて、敢えて散り申す」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日にげたる老翁ろうおう鍬を肩にし一枝いっしの桃花を折りて田畝でんぽより帰り、老婆浣衣かんいし終りて柴門さいもんあたりたたずあんにこれを迎ふれば、飢雀きじゃくその間をうかがひ井戸端の乾飯ほしいいついば
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
わしはもはやふたたび都の土をむ望みはない。一指いっしを加えることができないで敵とともに一つの天をいただくことは限りない苦しみだ。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
座に着いて、針箱の引出ひきだしから、一糸いっし其の色くれないなるが、幼児おさなごの胸にかゝつて居るのを見て
蠅を憎む記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
彼と交誼こうぎを結ばん事を望み居たれば、この人によりて双方の秘密を保たんとて、親戚の者より同医にはかる所ありしに、義侠ぎきょうに富める人なりければ直ちに承諾し、己れいまだ一子いっしだになきを幸い
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
弘化二年乙巳いっし 松陰兵を山田亦介またすけに学ぶ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
楠正成の湊川における戦死は決して権助ごんすけ縊死いっしにあらざりしなり(福沢先生明治初年頃の批評)、南朝は彼の戦死によりて再び起つべからざるに至れり、彼の事業は失敗せり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
米友流の啖呵を切って開き直ると、手に持っていた杖を眼にもとまらない迅さで取り直して、いま自分をなぐった人足の眼と鼻の間に一刺いっしを加えました。
鉄漿溝おはぐろどぶというのについて揚屋町あげやまちの裏の田町の方へ、紺足袋に日和下駄ひよりげた、後の減ったる代物しろもの、一体なら此奴こいつ豪勢に発奮はずむのだけれども、一進が一十いっし二八にっぱちの二月で工面が悪し
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「もとよりあの御方です。大塔ノ宮という一歯いっしをのぞけば、そこらじゅうの得態えたいの知れぬ腫熱うみねつもみな自然に解消するでしょう。いずれにいたせ、ご大望のためには、放置してはおかれませぬ」
その蠅の小さい一翅いっしは、どうしたものか、まったく眼に見えなかった。それは翅が無いのではなく、翅が非常に速い振動をしていたからである。
(新字新仮名) / 海野十三(著)
のりの道場に呉越ごえつはない。一視いっしみな御仏みほとけの子じゃ。しかるに、そこもとたちがひきおこした戦争のために、殺された者はそのかずも知れん。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
逸史いっし百篇今なほ存す 云々
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)