こと)” の例文
太古たいこ遺跡ゐせき發掘はつくつに、はじめてくだしたのは、武藏むさし權現臺ごんげんだいである。それは品川しながはたくからきはめてちかい、荏原郡えばらぐん大井おほゐ小字こあざこと
の一のかはをがれたために可惜をしや、おはるむすめ繼母まゝはゝのために手酷てひど折檻せつかんけて、身投みなげをしたが、それのちこと
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかれどもべつ社界しやかい大弊根たいへいこんながそんするありて、壯年有爲そうねんゆういをして徃々おう/\にして熱火ねつくわ焔柱ゑんちういだくの苦慘くさんこゝろよしとせしむることあり。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
なにをとこころすなぞは、あなたがたおもつてゐるやうに、たいしたことではありません。どうせをんなうばふとなれば、かならずをとこころされるのです。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しか崖丈がけだけ大丈夫だいぢやうぶです。どんなことがあつたつてえつこはねえんだからと、あたか自分じぶんのものを辯護べんごでもするやうりきんでかへつてつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なに下品げひんそだつたからとて良人おつとてぬことはあるまい、ことにおまへのやうな別品べつぴんさむではあり、一そくとびにたま輿こしにもれさうなもの
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なにしろそういう人々はこと生命財産に関係することだとあって、衣服が破れ、鼻血を出し、靴の脱げ落ちることなど一向いっこう意にかいせず
ことあらわれ夫おそれて妻を離縁したと載せ、スプレンゲルはある人鬼がその妻を犯すを、刀をふるうて斬れども更に斬れなんだと記す。
あいちやんはたゞちにれが扇子せんすつて所爲せいだとことつていそいで其扇子そのせんすてました、あだかちゞむのをまつたおそれるものゝごとく。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
で、その白鳥はくちょうは、いまとなってみると、いままでかなしみやくるしみにさんざん出遭であったことよろこばしいことだったという気持きもちにもなるのでした。
這麼老朽こんならうきうからだんでも時分じぶんだ、とさうおもふと、たちままたなんやらこゝろそここゑがする、氣遣きづかふな、こといとつてるやうな。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
その翌日の昼前、赤松警視総監は、登庁早々、刑事部長の報告を聞くや、こと重大と見て、直接その任にある波越警部を自室に呼んだ。
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
かくすにゃあたらないから、有様ありようにいってな、こと次第しだいったら、堺屋さかいやは、このままおまえにはあわせずに、かえってもらうことにする」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
いずれにしても、ことであろうとは考えられない。にもかかわらず、身を迎えにゆだねて行くからには、武蔵にも覚悟はあるのであろう。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其道そのみちに志すこと深きにつけておのがわざの足らざるを恨み、ここ日本美術国に生れながら今の世に飛騨ひだ工匠たくみなしとわせん事残念なり
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
第六 毎日まいにち一度いちど冷水ひやみづあるひ微温湯ぬるゆにて身體からだ清潔きれいぬぐひとり、肌着はだぎ着替きかへべし。入浴ふろは六七日目にちめごとなるたけあつからざるるべきこと
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
かつ如此かくのごとき事をこゝろみし事なし、こゝろみてそのはなは馬鹿気ばかげきつたる事をみとめたれば全然ぜん/\之を放棄はうきせり、みちおこなことみちく事なり
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
子供こどもには、はなしたあとでいろ/\のことはれて、わたくしまたむことをずに、いろ/\なことこたへたが、それをこと/″\くことは出來できない。
寒山拾得縁起 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
読みて大尉たいゐ壮行さうかうわれともにするの感あり、此日このひよりのちことにして、此日このひ只一人たゞひとりうれしくて、ボンヤリとなり、社員にもせず
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
ママはほかにいい仕事しごとっていて、たくさんおあしがもらえるので、いつまでもやめたくないのだということを、シューラは思い出した。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
いまかならずしも(六四)其身そのみこれもらさざるも、しかも((説者ノ))((適〻))かくところことおよばんに、かくごとものあやふし。
くど/\とながたらしいこといた手紙てがみよりか『御返事ごへんじつてります』の葉書はがきの方が、はるかにきみむねをゑぐるちからつてゐたんだね。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
パリス いづれも名譽めいよ家柄いへがらであらせらるゝに、ひさしう確執なかたがひをなされたはおどくでござった。ときに、吾等われら申入まうしいれたこと御返答ごへんたふは?
そなたはしきりに先刻さっきから現世げんせことおもして、悲嘆ひたんなみだにくれているが、何事なにごとがありてもふたた現世げんせもどることだけはかなわぬのじゃ。
「われらことは大塔宮様家臣、片岡八郎と申す者、これにあるは矢田彦七、宮家よりの使者として両人参った。玉置殿に御意ぎょい得たい」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
平野の打続く衛の風景とはおよことかわった・山勝ちのこうの都に、侘しい三年の月日を送った後、太子は遥かに父衛侯のを聞いた。
盈虚 (新字新仮名) / 中島敦(著)
わたしこゝろむかへなければならなかつた……それはちからよわふゆだからだらうか? いや! どうして彼女かのぢよちからあなどこと出來できよう。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
責任せきにんといふことおもききたいのもこれがめ、依頼心いらいしんおほいのもこれめ、また意志いし強固きやうこでないといふのもこれめであらうとおもひます。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
しかしそのとき周圍しうゐ事情じじやうは、病人びやうにんをKうちかしてことゆるさないので、ぐに何處どこへか入院にふゐんさせなければならなかつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
大船おほふなはつしてしまへば最早もう國府津こふづくのをほか途中とちゆうなにることは出來できないとおもふと、淺間あさましいことには殘念ざんねんたまらない。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「そんなことはない。」わたしわらひながら否定ひていした。するとまたS、H訂正ていせいでもするやうに、「いや、わたしほうが……。」とこたへた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
ハテ、めうことをんなだとわたくしまゆひそめたが、よくると、老女らうぢよは、何事なにごとにかいたこゝろなやまして樣子やうすなので、わたくしさからはない
「これの鏡は、もはらが御魂として、吾が御前をいつくがごと、いつきまつれ。次に思金の神は、みまへことを取り持ちて、まつりごとまをしたまへ
お花姉さんのには什麽どんなことが書いてあるか知ら、一つお手本を拝見してやろうとい所に気がついて、乃公はこっそりと姉さんのへやへ上って行った。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
すべひとたるものつね物事ものごとこゝろとゞめ、あたらしきことおこることあらば、何故なにゆゑありてかゝこと出來できしやと、よく其本そのもと詮索せんさくせざるべからず。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
あたらずとも六分利付りつきそんなしといふやうなことが、可り空たのめなことながら、一めんさうの青木さんの氕持きもちつよげきした。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
そんなことを、あまり熱心ねつしんに、そして感傷的かんしやうてきはなつたのちは、二人ふたりとも過去くわこやまかはにそのこゝろいとられたやうに、ぽかんとしてゐた。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
以上いじやうべたところ總括そうくわつして、化物思想ばけものしさうはどういふところもつとおほ發達はつたつしたかとかんがへてるに、化物ばけもの本場ほんば是非ぜひ熱帶ねつたいでなければならぬことわかる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
しかもぐずり御免のその御手形が、先の征夷大将軍家光公、お自ら認めて与えたお墨付たるに於ては、ことおのずから痛快事たるを免れないのです。
「もう一ことだけ申し上げますと、」ロリー氏は、彼女の注意を惹きつけようとする一つの穏かな手段として、その言葉に力を入れて言った。
とにかく初期微動繼續時間しよきびどうけいぞくじかんはじめとして、發震時はつしんじ其他そのたかんするあたひ計測けいそくし、これを器械觀測きかいかんそく結果けつか比較ひかくすることすこぶ興味きようみおほいことである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
國民こくみん消費節約せうひせつやく程度ていど此儘このまゝ持續ぢぞくすれば、はじめ日本にほん經濟界けいざいかい基礎きそ安固あんこなものになる、ことつていのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
繰言くりごとながら維盛が事頼むは其方一人。少將ことあるの日、未練の最期を遂ぐるやうのことあらんには、時頼、予は草葉の蔭より其方を恨むぞよ
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
村正どんもまた、花合戦よりも蕾合戦つぼみがっせんのことだと内心得意がって、この清興(?)を我ながら風流こときわまれりと納まっている。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かへつて我等に塗付ぬりつけんと當途あてどもなきこと言散し若年ながらも不屆至極ふとゞきしごくかさねて口をつゝしみ給へ若き時より氣を付て惡き了簡れうけん出さるゝな親々達おや/\たちに氣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ことつたら、ひとたちのつてゐるしゆ御血汐おんちしほで、このなほるかもれぬ。おもふことも度々たびたびだ。このなら咬付かみつける。真白まつしろだ。
河童野郎。八丁堀へでも、葛西かさいの源兵衛堀へでも勝手に行け。おれ達は渡り奉公の人間だ。万一ことれたところで、あとは野となれ、屋敷を
半七捕物帳:11 朝顔屋敷 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
おろかなとうさんは、好いことでもわることでもそれを自分じぶんでしてうへでなければ、その意味いみをよくさとることが出來できませんでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
我は斯く第七の石屑いしくづの變り入替いりかはるさまをみたりき、わが筆少しく亂るゝあらば、請ふ人ことの奇なるをおもへ 一四二—一四四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
我国の寒行かんぎやうは、ことはこれにてその行ははなはだこと也、我国の寒中は所として雪ならざるはなく、寒気かんきのはげしき事はまへにいへるがごとし。