もだ)” の例文
新字:
ルカーノは今よりもだして幸なきサベルロとナッシディオのことを語らず、心をとめてわがこゝに説きいづる事をきくべし 九四—九六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
友は蔦蘿つたかづらの底に埋れたる一たいの石を指ざして、キケロの墓を見よといへり。是れ無慙むざんなる刺客せきかくの劍の羅馬第一の辯士の舌をもだせしめし處なりき。
ここに天皇、答へ白したまはく、「高きところに登りて西の方を見れば、國は見えず、ただ大海のみあり」と白して、いつはりせす神と思ほして、御琴を押し退けて、控きたまはず、もだいましき。
西八條の屋方やかたに花見のうたげありし時、人のすゝめにもだし難く、舞ひ終る一曲の春鶯囀に、かずならぬ身のはしなくも人に知らるゝ身となりては、御室おむろさとに靜けき春秋はるあきたのしみし身のこゝろまどはるゝ事のみ多かり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
父われはピアノのかげにかき坐りこともだしをり子らぞたたける
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
ある時は人を厭ふと石の上にもだもあらまし達磨の如く
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
はたともだし 紺の肩さきいかめしく
山果集 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
見入りてはもだしぬ。やがて——
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
鳥はもだしてひとりしめり。
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
互にもだしつつ語り合へり。
氷島 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
また天堂のたへなる調しらべが、下なる諸〻の天にてはいとうや/\しく響くなるに、この天にてはいかなればもだすやを告げよ。 五八—六〇
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
彼問ひ此答ふるしげき詞の中にも、幸にして人の我詩卷を問ふ者なく、我も亦もだありければ、ダヰツトの詩篇の事は終に復た一人の口に上ることなかりき。
糸車、糸車、しづかにもだす手のつむ
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
黄にもだ公孫樹いてふの、はたや
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
もだ俯居うつゐをかいまみて
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
疑ふ勿れ もだす勿れ
南窗集 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
我は彼等の悲しみを増さじとて心をしづめぬ、この日も次の日も我等みなもだせり、あゝ非情の土よ、汝何ぞ開かざりしや 六四—六六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
この時我は、その奇しくたへなる世界を背にして、狹き尼寺の垣の内に籠らんとし給ふ御心こそ知られねと云はんと欲せしが、姫の思ひ給はん程のおぼつかなくてもだしつ。
の伊佐奈今はもだしぬ
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
もだ俯居うつゐをかいまみて
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
ゐてもだしたり
短歌集 日まはり (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
我はこのとき我よくさとるといはんとおもひしかど、わがすでに次の圓に着けるを見しかば、目の願ひのためにもだせり 八二—八四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
もだすとき、斧はくだりぬ。
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
我またかくの如くなりき、これ平和なきこの獸我にたちむかひて進み次第に我を日のもだす處におしかへしたればなり 五八—六〇
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
草びらは靜かにもだす。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
あたかも學士が、師の問をおこすを待ちつゝ、これをあげつらはんため——これをきむるためならず——もだして備を成すごとく 四六—四八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
靄こそもだせ、日のをはり
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
そも/\これらの靈體は、我をして彼等に請ふの願ひを起さしめんとて皆ひとしくもだしゝなれば、いかで正しきこひに耳を傾けざらんや 七—九
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
我はすでに新しきかわきに責められたれば、そともだせるもうちに曰ふ。恐らくは問ふこと多きに過ぎて我彼をわづらはすならむ。 四—六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
我等はかの愛する魂等がわれらの足音を聞けるを知れり、されば彼等のもだすをみて路の正しきを疑はざりき 一二七—一二九
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
もだしつゝ唯茫然と