驚破すはや)” の例文
驚破すはや、障子を推開おしひらきて、貫一は露けき庭にをどり下りぬ。つとそのあとあらはれたる満枝のおもては、ななめ葉越はごしの月のつめたき影を帯びながらなほ火の如く燃えに燃えたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
……驚破すはや相噛あひかまば、たゝかはゞ、此波このなみき、此巌このいはくづれ、われぶ、とこゑげて「康正かうせいさーん。」博士はかせたすけよ、とばむとするときなんと、……うなじり、ほゝおもり、あしいだくとるや
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
踏直ふみなほして上らんと爲を見て稻葉家警固の者共大に驚き驚破すはや一大事の出來たりと大勢おほぜい馳來はせきたりて飛込々々とびこみ/\難なく御駕籠かごすくひ上たり尤も御駕籠半分程は水中に落入しと雖も稻葉家の役人共爰を專途せんとと身を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
驚破すはや、彼の座敷を出づるを、送りも行かず、坐りもらぬ宮が姿は、さびしくも壁に向ひて動かざりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
驚破すはやと、母屋おもやより許嫁いひなづけあにぶんのけつくるに、みさしたるふみせもあへずきててる、しをりはぎ濡縁ぬれえんえだ浪打なみうちて、徒渉かちわたりすべからず、ありはすたらひなかたすけのせつゝ、してのがるゝ。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)