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香気
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におい
ふりがな文庫
“
香気
(
におい
)” の例文
旧字:
香氣
「
否
(
いや
)
だ。
否
(
いや
)
だ。イケナイイケナイ。私から先だ私から先だ。私は
美
(
い
)
い
香気
(
におい
)
が
嗅
(
か
)
ぎたい。花だの香木だのの
芳香
(
におい
)
が嗅ぎたい。早く早く」
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
番茶を
焙
(
ほう
)
じるらしい、いゝ
香気
(
におい
)
が、真夜中とも思ふ頃
芬
(
ぷん
)
としたので、うと/\としたやうだつた
沢
(
さわ
)
は、はつきりと目が覚めた。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
不図
(
ふと
)
気
(
き
)
がついて
見
(
み
)
ると、その
小人
(
こびと
)
の
躰中
(
からだじゅう
)
から
発散
(
はっさん
)
する、
何
(
なん
)
ともいえぬ
高尚
(
こうしょう
)
な
香気
(
におい
)
!
私
(
わたくし
)
はいつしかうっとりとして
了
(
しま
)
いました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
先生は鼻眼鏡を
隆
(
たか
)
い鼻のところに
宛行
(
あてが
)
って、過ぎ去った自分の生活の
香気
(
におい
)
を
嗅
(
か
)
ぐようにその古い洋書を繰りひろげて見て、それから高瀬にくれた。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
云うに云われない菊特有の
香気
(
におい
)
はどうして出来たものか、これも深く詮索をすれば結局判らない事になってしまう。
大きな怪物
(新字新仮名)
/
平井金三
(著)
▼ もっと見る
でも、それは、この季節らしい柔らかみを帯びた風景として、かえって美しく、万物を受胎に誘う春風の中に、もろもろの
香気
(
におい
)
の籠っているのと共に、人の心を恍惚とさせた。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ちょうどそこでは、沢山の美しい薔薇が満開で、そのほかに蕾やら、八分咲きやら、いろいろありました。それが朝のそよ風の中に、えもいわれぬ
香気
(
におい
)
をただよわせていました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
勘「何んだって度々水を汲んでやったり
何
(
なん
)
かするんで大きに色々お世話に成るって呉れましたが
余
(
あんま
)
り
好
(
い
)
い心持だから匂いを嗅いだが、
些
(
ち
)
っとも好い
香気
(
におい
)
はしませんね、
矢張
(
やっぱり
)
手拭の臭いがした」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼は自分でも仕事の疲労を忘れるために買って置いたその好い
香気
(
におい
)
のする興奮剤を激しく疲れている節子に飲ませた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
少女の寝息とも……牛乳の
香気
(
におい
)
とも……萎れた花の
吐息
(
といき
)
ともつかぬ、なつかしい、甘ったるい匂いが、又もホノボノと黄絹の帷帳の中から迷い出して来た。
白菊
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
返された時、博覧会の饅頭の
香気
(
におい
)
がした……地獄、餓鬼、畜生、お悦さん。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
男の児の節句も近づいたことを思わせるその
笹
(
ささ
)
の葉の蒸された
香気
(
におい
)
は、節子の口から彼女の忘れようとして忘れ得ない子供の
噂
(
うわさ
)
を引出すに十分であった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
味もわからず
香気
(
におい
)
も
為
(
し
)
まい
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
何かこう酒の
香気
(
におい
)
でも
嗅
(
か
)
いで見たら、という心さえ起って来た。この心は捨吉を驚かした。彼はまだ一度も酒というものを飲んで見たことが無かったから。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
酒の
香気
(
におい
)
も座敷に満ちていた。岸本のために
膳部
(
ぜんぶ
)
までが既に用意して置いてあった。元園町は客を相手に、さかんに
談
(
はな
)
したり飲んだりしているところであった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
捨吉は急にかしこまって、小さな
猪口
(
ちょく
)
を友達の前に置いた。ぷんと
香気
(
におい
)
のして来るような
熱燗
(
あつかん
)
を注いで勧めた。一口
嘗
(
な
)
めて見たばかりの菅はもう顔を
渋
(
しか
)
めてしまった。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
土地柄らしく掛けてある諸
講中
(
こうじゅう
)
の下げ札なぞの目につくところから、土間づたいに広い
囲炉裏
(
いろり
)
ばたへ上がって見た時は、さかんに
松薪
(
まつまき
)
の燃える
香気
(
におい
)
が彼の鼻の先へ来た。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
岡の上へ出ると、なまぬるい
微
(
かす
)
かな風が黄色くなりかけた麦畠を渡って来る。麦の穂と穂の
擦
(
す
)
れる音が聞える。強い、
掩
(
おお
)
い冠さって来るような
叢
(
くさむら
)
の
香気
(
におい
)
は二人を沈黙させた。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
とおばあさんに言われて、お民は目を細くしたが、第一その
香気
(
におい
)
に驚かされた。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
花は何に限らず好きだったが、黄な薔薇は殊におせんが好きな花だった。そして、自分で眼を細くして、その
香気
(
におい
)
を
嗅
(
か
)
いで見るばかりでなく、それを家のものにも嗅がせた。マルにまで嗅がせた。
刺繍
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そして、やわらかい
香気
(
におい
)
の好い空気を広い肺の底までも呼吸した。
刺繍
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
新しい異国の
香気
(
におい
)
は、そこにいるだれよりも寿平次の心を誘った。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「御覧、よい
香気
(
におい
)
だこと。」
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
香
常用漢字
小4
部首:⾹
9画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“香”で始まる語句
香
香具師
香港
香炉
香華
香奠
香花
香爐
香水
香物