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おしゃべり
ふりがな文庫
“
饒舌
(
おしゃべり
)” の例文
恐ろしい
饒舌
(
おしゃべり
)
に似ず、急に
田螺
(
たにし
)
のように黙りこんでしまいます。この上聴いたところで、もう大した収穫もありそうにも思われません。
悪人の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
僕は
酒売台
(
さけうりだい
)
に陣地を取ったわけだが、ところがそこの主人は大変な
饒舌
(
おしゃべり
)
で、僕のききたいことは、何もかもよく喋べってくれた。
自転車嬢の危難
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
「そうか、わしは、今年で、もう、六十年も山をおりたことはないが、
饒舌
(
おしゃべり
)
の道士のために、とうとう引っぱり出されるのか」
牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
黒吉は、黙って、この
饒舌
(
おしゃべり
)
な由子の傍を離れると、
立附
(
たてつけ
)
の悪い楽屋の床板を小さく鳴らしながら、あてもなく顔見世台の方へ歩いて行った。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
それァもう
仰有
(
おっしゃ
)
るまでもなく承知いたしております。つまらない
饒舌
(
おしゃべり
)
をして
掛替
(
かけがえ
)
のない首でも取られた日にゃ
御溜小法師
(
おたまりこぼし
)
が御座いませんや。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
廊下は長く、階段は急であり、その上ジョンドレットは
饒舌
(
おしゃべり
)
だから、ルブラン氏はまだおそらく馬車に乗ってはいないだろう。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
厭々
(
いやいや
)
であったが、持物といっては金属性の球だけをポケットにして、
饒舌
(
おしゃべり
)
なAや
気難
(
きむずか
)
し屋なBと共々打ち連れて、先ず都を
指
(
さ
)
して旅にのぼった。
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
また無益な
饒舌
(
おしゃべり
)
は慎まねばならぬというわけで、好意から他言せぬようにと執事やその他の者にまで注意しておきました。
むかでの跫音
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
十分ほど前なら、加十はたしかにこの利いたふうな
饒舌
(
おしゃべり
)
を笑ってやることが出来た。しかし、今は笑うことも出来やしない。まさにその通りなんだ。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そして、いつもの無口にも似合わず立てつづけに
饒舌
(
おしゃべり
)
をした。問いをかけられるのが恐ろしいものだから、成るだけ相手に口を開かせないようにするのだ。
情状酌量
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
荒い人達のすることは高瀬を
呆
(
あき
)
れさせた。しかしその野蛮な戯れは都会の退屈な
饒舌
(
おしゃべり
)
にも
勝
(
まさ
)
って彼を悦ばせた。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
尼婆さんの
他
(
ほか
)
の
饒舌
(
おしゃべり
)
には弱らされたが、これだけは、もう一度、また一度と、きかせて貰った。調子に乗ると、手拍子が
張扇子
(
はりおうぎ
)
になって、しかも自己流の手ごしらえ。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして
扉
(
とびら
)
の後ろに隠れて子供たちの
饒舌
(
おしゃべり
)
をうかがっていた。それを聞き取ると胸をどきつかせた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
町人の癖でおんもりとした事は云えないので……こんな
饒舌
(
おしゃべり
)
も付いて居りますが、此の通りずぼらなことは云うが堅いことは云えませんから、お打解けなすって召上りまし
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ドチラかというと寡言の方で、眼と唇辺に冷やかな微笑を寄せつつ黙して人の
饒舌
(
おしゃべり
)
を聞き、時々低い
沈着
(
おちつ
)
いた
透徹
(
すきとお
)
るような声でプツリと
止
(
とど
)
めを
刺
(
さ
)
すような警句を吐いてはニヤリと笑った。
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
朝夕
(
ちょうせき
)
平穏な時がなくなって、始終興奮している。
苛々
(
いらいら
)
したような
起居振舞
(
たちいふるまい
)
をする。それにいつものような発揚の状態になって、
饒舌
(
おしゃべり
)
をすることは絶えて無い。
寧
(
むしろ
)
沈黙勝だと云っても好い。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ある日源太が
不在
(
るす
)
のところへ心易き医者
道益
(
どうえき
)
という
饒舌
(
おしゃべり
)
坊主遊びに来たりて、
四方八方
(
よもやま
)
の話の末、ある人に連れられてこのあいだ蓬莱屋へまいりましたが、お伝という女からききました一分始終
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
僕は深夜の散歩を好むのあまり、
饒舌
(
おしゃべり
)
を弄しすぎたようである。
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
イムバネスの
饒舌
(
おしゃべり
)
はなお続いた。
帰途
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
女中は
饒舌
(
おしゃべり
)
にひと区切つけた。
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「そうか、わしは、今年でもう六十年も山をおりたことはないが、
饒舌
(
おしゃべり
)
の道士のために、とうとう引っ張り出されるのか」
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
黒吉は、眼の前に浮んだ由子の
饒舌
(
おしゃべり
)
な顔を、首を振って、払いのけた。長々しく葉子の悪口をいう、由子自身の方が、よっぽど悪魔に近いように思われた。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
いつも帰って来ると上機嫌で
饒舌
(
おしゃべり
)
をするのに、今日に限ってうんともすんとも云わずに、黙アって坐りこんで、毒でも食べるように
不味
(
まず
)
そうに
夕食
(
ゆうめし
)
を食べてさ。
生さぬ児
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
平次は老船頭の
饒舌
(
おしゃべり
)
をいい加減に聞いて、船から飛降りると、一散に本銀町へ駆けて行きました。
銭形平次捕物控:029 江戸阿呆宮
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ド・スキュデリー嬢からバルテルミー・アドー夫人に
堕
(
おと
)
し、ド・ラファイエット夫人からブールノン・マラルム夫人へ堕し、そしてパリーの
饒舌
(
おしゃべり
)
な女の恋情を焼き立て
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
一高一低の掛時計の音が、父の狂気じみた
饒舌
(
おしゃべり
)
の調子をとっていた。彼はもうたまらなくなって、逃げ出そうとした。しかし出て行くには、父の前を通らなければならなかった。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それに
饒舌
(
おしゃべり
)
が
煩
(
うるさ
)
くて、月に三四度ずつは必ず頼んだ
按摩
(
あんま
)
も
廃
(
や
)
めた。私は自分の
身体
(
からだ
)
が自然と回復するのを待つより外に無かった。はかばかしい治療の方法も無いと言うのだから。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
鐵「おゝおゝ仕様がねえな、本当に
手前
(
てめえ
)
は
饒舌
(
おしゃべり
)
だな」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼女は元来
饒舌
(
おしゃべり
)
や騒々しいことの嫌いな性分なのに、こうして
雑鬧
(
ざっとう
)
の中へ入ってゆくのは、そこでは
他
(
ひと
)
から勘づかれないで男達の合図に答えることが出来るからであった。
フェリシテ
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
飛び廻っていた由子——
饒舌
(
おしゃべり
)
の由子——、それが今、こうして貧し気ながらもタッタ一枚の着物を着、大人のような帯を締ていると、その言葉のように、由子はもう大人だったのだ。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
少し耳が遠くて、またそのために
饒舌
(
おしゃべり
)
だった。歯は抜け落ちてしまって、ただ上と下とに一本ずつ残っていたが、それを始終かみ合わしていた。彼女はいろんなことをコゼットに尋ねた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
平次はガラッ八の
饒舌
(
おしゃべり
)
を整理するように、こう切り出します。
銭形平次捕物控:053 小唄お政
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
女「落語家は
饒舌
(
おしゃべり
)
で嫌い」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
或る者は真黒な喪服をすっぽりと
被
(
かつ
)
いで、悄然と力ない
歩調
(
あしどり
)
をしているかと思うと、一方には華やかに着かざって、
饒舌
(
おしゃべり
)
をしたり高笑いをしたりしながらやって来る者もある。
碧眼
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
だが、女は平気で
饒舌
(
おしゃべり
)
をつづけた。おれは
起
(
た
)
ちあがって
室
(
へや
)
の中を歩きはじめた。そうして歩き廻っているうちに、ふと暖炉棚の上に、小型のピストルが載っているのが眼に止まった。
ピストルの蠱惑
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
饒
漢検1級
部首:⾷
21画
舌
常用漢字
小6
部首:⾆
6画
“饒舌”で始まる語句
饒舌家
饒舌娘
饒舌廻
饒舌箱
饒舌続
饒舌録
饒舌愛嬌