阿弗利加アフリカ)” の例文
昼間のあいだに騒ぎつかれて夜は静かな鳥や獣の深い眠りを驚かすのは、近頃阿弗利加アフリカから送られて来た二匹の牝牡めすおすの獅子であった。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ただ見えてくるのは、あの荒涼たる阿弗利加アフリカ熱帯無人の境で、やや右俯伏せに倒れていた令嬢エミーラの無残なる屍体のみであった。
令嬢エミーラの日記 (新字新仮名) / 橘外男(著)
最も機敏な外交家達がそれを忘れたということはよほど不思議である。阿弗利加アフリカとは大いに違う。そういう馬鹿な事が出来るものでない。
東亜の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
また熱帯無人境の阿弗利加アフリカ内地や、原始的なる南洋タヒチの蛮島等は、単にそれを思うだけでも、吾人にとって詩的の興奮を感じさせる。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
岸本が仏蘭西フランスの旅を終って、アーヴルの港を辞し去ろうとした当時、南阿弗利加アフリカを廻って国の方へ帰って行く船旅をえらぼうか
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そのとき船は阿弗利加アフリカ沖をはしっていたが、ガルールは仏領南亜米利加アメリカはギヤーヌの徒刑場へ流されたくるしい経験を思いだし
阿弗利加アフリカの暗黒地帯とか言うものの中と同様に、精神的にも物質的にも、お互い同士が『喰うか喰われるか』の恐ろしい生存競争場であります。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
亜細亜アジア人種……阿弗利加アフリカ人種……。」と生徒達の読本朗読の声を聞き覚えに私は覚束おぼつかなくも口真似くちまねをしたりしてゐた幼ない頃の自分を思ひ出す。
ある職工の手記 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
アラビヤの沙漠をわたる熱風を満面に浴びて遠くシナイの山顛さんてんを眺め、火のような阿弗利加アフリカの、空にはアクラブ Akrab, 10000ft. の英姿を仰いで
阿弗利加アフリカの内陸や濠州の蛮地に行くと、今でも是に面を被るのと同じような効果を認めている。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
阿弗利加アフリカ黒奴こくどけものの如く口を開いて哄笑こうしょうする事を知っているが、声もなく言葉にも出さぬ美しい微笑ほほえみによって、いうにいわれぬ複雑な内心の感情を表白するじゅつを知らないそうである。
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この花の原産地は阿弗利加アフリカの喜望峰だといふ事だが、あれなぞも何処かの男が禅坊主にでも食べさす積りで持つて来たものかも知れない。禅坊主は家畜の食べるものなら何でも口にする。
それに星尾の父親というのが神戸に居ますが、これは香料問屋こうりょうどんやをやって、熱帯地方からいろいろな香水の原料を買いあつめてはさばいているのです。阿弗利加アフリカ薬種やくしゅを仕入れる便利が充分あります。
麻雀殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
けだ阿弗利加アフリカ沙漠さばくにしたるしき𤍠ねつ気息いきのみ。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
諸君も御承知のとおり、領西阿弗利加アフリカアンゴラと白耳義ベルギー領コンゴーとは、年中国境紛争の絶え間もない植民地であった。
令嬢エミーラの日記 (新字新仮名) / 橘外男(著)
アングロサクソン民族の発展せんとする阿弗利加アフリカにもゲルマン民族が発展せんとする。ここに当然種々の衝突を惹起した。
文明史上の一新紀元 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
マロンは阿弗利加アフリカ屯田兵の営舎から脱走して営倉に叩きこまれたときの記憶を喚びおこして、心ひそかにこの海上の自由を讃美しているのであった。
明るい燈火のかげを歩き廻る時の彼の心は、どうかするとまだ巴里の大並木街グランブウルバアルの方へも行き、帰りの旅に見て来た阿弗利加アフリカの殖民地の港の方へも行った。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
なぜなら彼は、阿弗利加アフリカ沙漠さばくの中で、より詩的な生活を行為しようと思ったから。彼は言った。「詩なんか書くやつはくだらない」「真の詩人は詩を作らない」と。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
さすがは有名な探検家として阿弗利加アフリカを初め印度インド、南洋、中央亜細亜アジア新疆省しんきょうしょうと、蕃地ばかりを経巡へめぐられて太陽の直射を受けられたためか、お顔の色の見事さは驚くばかりでありましたが
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
クレオパトラやマクベス夫人に扮して名を売つた英吉利の女優ラングトリ夫人が、まだ若盛りの頃ある宴会で、その頃ちやうど倫敦ロンドンを訪れて来た阿弗利加アフリカの或る王様と一緒になつた事があつた。
従って、亜細亜アジア人でも、阿弗利加アフリカ人でも、皆これをその配下に入れて、その上に世界的主権を立てるべく主張し、つこれを実行したものである。
大戦乱後の国際平和 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
もし仮に私がこの阿弗利加アフリカでこのまま一生を送るものとしたならば、私はむしろウェンデルを取るだろう。あの時は無茶な人だと思った。怒りもした。
令嬢エミーラの日記 (新字新仮名) / 橘外男(著)
そこにある日本郵船会社の支店を訪ねて見た日に、彼は西伯利亜シベリア廻りの旅を断念した。牧野と連立って、阿弗利加アフリカを経て帰って行く船の旅の方をえらぶことにした。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
阿弗利加アフリカの南端。ポートサイド港。季節は夏の真中であった……。
死の航海 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
これを如何にして阿弗利加アフリカ的に分割する事が出来よう。されども初めあまりに支那を買被った世界は、今度はその反動としてあまり支那を見縊みくびった。
三たび東方の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
植物学の大家として世界に其名を響かせていた理学博士のコックニー氏が阿弗利加アフリカ大陸の探検をえて自分の故郷のカンタブリアそんへ自分の息子のバルビューと一緒に永住の覚悟で移転して来たのは
物凄き人喰い花の怪 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その問題はなんでもない、一つの阿弗利加アフリカの一小共和国、ほとんど英国の一保護国の如き国に於て起った事柄であるにかかわらず、直ちに日耳曼ゲルマンとの間に面倒が起った。
外交の方針 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
阿弗利加アフリカへ渡るその機会を……がしかし今では阿弗利加などは全く眼中になくなってしまった。球は手近で発見された。そして私はその球を追って西域の沙漠へ向かうのだ。彼らと一緒に向かうのだ。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
全体手品師のように、人の物を勝手に紙の上に図を引いて奪うということが出来る理屈のものではない。かつて伯林ベルリンに於て列国会議を開いて阿弗利加アフリカの分割をやった事がある。
東亜の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
この語は阿弗利加アフリカ分割の際に使われた語であるが、阿弗利加アフリカはもともと無人の地である。
三たび東方の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
日本が未だ世界に知られぬうちは、その有様がよほど盛んであった。一番盛んであったのは何処どこであるかというと、阿弗利加アフリカのナタール殖民法案というものを諸君は知っているであろう。
平和事業の将来 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
阿弗利加アフリカという国は、諸君も地図でご覧の通り、白くしてある所が多い。あまり黒くなっておらぬ。黒くないのは書くことが少ないからだ。あるいは探検をしない所は皆白くしてある。
東亜の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
その中でも主要なものは葡萄牙ポルトガル西班牙スペインは宗教、即ち基督キリスト教の布教に依って海外発展、つまり外国移民を遂行せんとして(現に南北亜米利加アメリカ阿弗利加アフリカ及び印度インドに布教してその実を挙げた)
勿論もちろん、その発祥の当時、今日の如く亜細亜アジア欧羅巴ヨーロッパ阿弗利加アフリカなどの区別は無い。これは後世の区別であるが、亜細亜アジア欧羅巴ヨーロッパ阿弗利加アフリカ三陸結合点の付近、今の亜細亜アジア西部のある地方である。
日本の文明 (新字新仮名) / 大隈重信(著)