金貸かねかし)” の例文
みゝづくでしよくろんずるあんまは、容體ようだい倨然きよぜんとして、金貸かねかしるゐして、借家しやくや周旋しうせん強要きやうえうする……どうやら小金こがねでその新築しんちくをしたらしい。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「その平松屋源左衛門というのは、本郷一番の金貸かねかしで、五年前に亡くなった、松前屋三郎兵衛のあとだということも、御存じでしょうね」
銭形平次捕物控:282 密室 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
マア金貸かねかしでもしてるか、と想像さうざういたされますうち丁度ちやうど明治三年の十一月の十五日、霏々ちら/\日暮ひぐれから降出ふりだしてました雪が、追々おひ/\つもりまして
乞食の高利貸 もちろん乞食でもラサ府の乞食の内には高利貸をして居るやつがあります。金貸かねかしをする位の乞食でもなかなかうまい物を喰わない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
もつと左樣さうするまへ老人らうじん小聲こゞゑ一寸ちよつ相談さうだんがあつたらしく、金貸かねかしらしい老人らうじんは『勿論もちろんのこと』とひたげな樣子やうすくびかたせてたのであつた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そしてなおこの領地に住んでいたユダヤ人の金貸かねかしの権力に落ちこんでしまいました。饉死がしするより外にしようのなくなった、鍜治屋は林檎の樹に首をくくってしまいました。
女は日本橋檜物町ひものちょう素人屋しろうとやの二階を借りてんでいる金貸かねかしをしている者のむすめで、神田の実業学校へ通うていた。女はそれ以来金曜日とか土曜日とかのちょっとした時間を利用して遊びに来はじめた。
水郷異聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
〽三ツの車にのりの道ソウラ出た……悋気りんき金貸かねかしや罪なもの
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
丈「それが有るから斯うやって金を貸すほうで、足手あしてを運んで、雪の降るのに態々わざ/\橋のたもとまで来たのだから、本当に金貸かねかしをもって仕合しあわせではないか」
金貸かねかしの支配人ですもの、世間の人はゲジゲジ見たいにいふし、叔父さんもまた、金の借り手に甘い顏なんか見せられないから、何時でも苦虫を噛みつぶしたやうな顏をしてゐました、その上——」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
内證ないしょう金貸かねかしをもして居る属官ぞっかんである。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
必定きつと金貸かねかしなんかですよ。』
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
わたしゃ悪い事は云わないから、此間こないだ話した私の主人同様の地主様で、金貸かねかしで、少し年は取っていますが、やなのを勤めるのが、そこが勤めだから、いやでもうんと云って旦那の云うことを聞けば
金貸かねかしをする、質屋をする、富豪ものもちと云われるように成って、霊岸島川口町れいがんじまかわぐちちょうへ転居して、はや四ヶ年の間に前の河岸かしにずうっと貸蔵かしぐらを七つも建て、奥蔵おくぐら三戸前みとまえあって、角見世かどみせで六間間口の土蔵造どぞうづくり
峰「なに金貸かねかしで、下質したじちを取ってお屋敷へお出入りがあるので」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)