だち)” の例文
ある冬の事、この老爺おやじというのが、元来はなし上手なので、近所の子供だちが夜になると必ず皆寄って来て、老爺おやじはなしをせがむのが例であったが
千ヶ寺詣 (新字新仮名) / 北村四海(著)
しかしそうばかりではなくこの世には、実に不思議なことが往々おうおうにしてあるものだから、今私がお前だちにもはなしてきかせよう
雪の透く袖 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
しかし、月きふの上る見込みこみもなかつたし、ボオナスもるばかりの上に、質屋しちやちかしい友だちからの融通ゆうづうもさうさうきりなしとはかなかつた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
なかには弟子だちが焼いて呉れたこうしの肉が一杯詰つてゐるしするので、基督はこれ迄にない上機嫌で、親父おやぢの神様に代つて、姦通まをとこのほかは大抵の罪はかけ構ひなく
これからは肝心かんじん飲食のみくいとなるのだが、新村入しんむらいりの彼は引越早々まだ荷も解かぬ始末しまつなので、一座いちざに挨拶し、勝手元に働いて居る若い人だちとおながら目礼して引揚げた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
しかも和歌までも堪能かんのうで、男ぶりは何様どうだったか、ひょろりとして丈高く、さし肩であったと云われるから、ポッチャリとした御公卿おくげさんだちの好い男子おとこでは無かったろうと思われる。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「あすこは、お山の方だちの遊ぶ処でございます、七つすぎましては」
山寺の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
船頭さんだち
雨情民謡百篇 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
お前だちは、まだとし若い血気の少年であるから、幽霊などがあるといったら、一概にけなすことだろうが
雪の透く袖 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
戸外そとは雪がちらちら降っていて、時々吹雪のような風が窓の戸をガタガタ音をさして、その隙間から、ヒューと寒く流込ながれこむと、申合もうしあわした様に子供だちは、ちいさな肩をみんな縮める
千ヶ寺詣 (新字新仮名) / 北村四海(著)
それを聞くと、苦力だちは驚いたやうに顔を見合はせた。将校は苦力の人夫頭を顎でしやくつた。
「奥さんやお嬢さんだちを、ちょっと見てまいります」
警察署長 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その頃寺に居た徒弟共を一室ひとまに集めて、さて静かにいうには、今当山に訪れたものは、お前だちかねて知っておる通り、この一七日前に当山に於て葬礼の式を行った
雪の透く袖 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
尤も学者や芸術家は生前忙しく暮したせゐで、まだ高野山を見ないで死んだてあひも多からうから、博士の手で無賃乗車券でも配つたら、その人だち霊魂たましひも一度は屹度きつと登山するに相違ない。
子供だちみんな震上ふるえあがって一同顔色を変えた、その晩はいとど物凄い晩なのに、今幽霊が来たというので、さあ子供だちは帰れないが、ここへ泊るわけにもゆかないので、皆一緒に、ぶるぶる震えながら
千ヶ寺詣 (新字新仮名) / 北村四海(著)
好奇心と満足と不安とのごつちやになつた気持ちで、職工だちの報告書を調べてゐた重役は、その一つに家賃の項目が書加へてないものを発見した。その職工はすぐに重役室に呼び出された。