身方みかた)” の例文
恋愛は現在のみならずして、一分は希望に属する者なり、即ち身方みかたとなり、慰労者となり、半身となるの希望を生ぜしむる者なり。
厭世詩家と女性 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
為義ためよしはもう七十の上を出た年寄としよりのことでもあり、天子てんしさま同士どうしのおあらそいでは、どちらのお身方みかたをしてもぐあいがわるいとおもって
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
わが小尼公アベヂツサに親む心は日にけに増さり行きぬ。われは世の人の皆我敵にして、唯だ小尼公のみ身方みかたなるを覺えき。
「だって、おにいさまたち、あたしの身方みかたをしてくださるでしょう。」と、ちいさい妹はいいました。
瀬田が進み出て、「我々はどこまでもお供をしますが、御趣意ごしゆいはなるべく一同に伝へることにしませう」と云つた。そして所々しよ/\に固まつてゐる身方みかたの残兵に首領しゆりやうの詞を伝達した。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
またチッバルトはそなたころしたでもあらうずに、そなたがチッバルトをころした。それもまたひとつの幸福しあはせつぎ死罪しざいともあるべき國法こくはふそなた身方みかたとなって追放つゐはう事濟ことずみ。それもまたひとつの幸福しあはせ
それが、父さんの責任だとはいわないぜ。なに、僕がそっといいつけりゃよかったのさ。父さんは、僕の身方みかたになってくれたんだ。これから、ぼつぼつ、もう以前からのことを話してみるよ。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
身方みかたの親戚知友はもとより新夫人の両親骨肉および「鷹の宿」の隣家に住める医師、兼、弁護士の免状所有者にして、篤学とくがくの聞え高きランドルフ・タリスマン氏迄も招待して、盛大なる華燭の典を挙げ
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
とおっしゃって、弓矢ゆみや太刀たちをおりになり、身方みかた軍勢ぐんぜいのまっさきっていさましくたたかって、ほとけさまのてきのこらずほろぼしておしまいになりました。
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ジエンナロ語を繼ぎてわれはそれとは表裏うらうへなり、あらゆる美しき女を愛し、あらゆる美しき女に接吻し、あらゆる美しき女の身方みかたとなりて、到るところ人の心をやはらぐ
そこで義家よしいえ身方みかた軍勢ぐんぜいひきいて、こんどもえとさむさになやみながら、三ねんあいだわきもふらずにたたかいました。
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
かげ身方みかたても、ても、あとからあとからがふえて、いつまでもつきるということがありません。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
身方みかた射出いだしたをせっせとひろっては、こちらへはこかえしてました。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)