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踏迷
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ふみまよ
と問わぬことまで
深切に話します。それでよく
仔細が
解って
確になりはなったけれども、現に一人
踏迷った者がある。
人間てものは誰でも誤って邪路に
踏迷う事があるが、心から悔悛めれば罪は奇麗に
拭い去られると懇々説諭して
急ぎしに※らずも
踏迷ひ
喘ぎ/\
漸々秋葉の
寶前に來りしが此時は
早眞夜中にてゴーン/\と
鳴しは
丑刻の
鐘なれば
最早何へも行難し
麓へ下れば
狼多く又夜
深に本坊を
途次、
彼の
世に
聞えた
鬼門關を
過ぎようとして、
不案内の
道に
踏迷つて、
漸と
辿着いたのが
此の
古廟で、べろんと
額の
禿げた
大王が、
正面に
口を
赫と
開けてござる、うら
枯れ
野に
唯一つ
乞しに内よりは大音にて
何者なるや内へ
這入べしといふ吉兵衞大いに
悦び内へ入りて申やう私し儀は
肥後國熊本の者なるが今日の
大雪に
道踏迷ひ
難澁いたす者なり
何卒御
情にて一
宿一
飯の
御惠を
踏迷ひ此處へ來りて一
宿を
乞し故
快よく
泊置て衣類は
濡たれば此方のを
かくてわれ
踏迷ひたる
紅の雪のなかをばのがれつ。